『チア男子!!』朝井リョウさん

やっぱり青春スポーツ小説は好きだ。
暑苦しくてバカみたいにまっすぐに何かに打ち込む人の姿はエネルギーが半端ない。


ただ、「いろんなことを乗り越えて結果を出しましたよ」っていうストーリーにはあまり惹かれない。


もちろん結果を出すことが1番分かりやすいハッピーエンドでみんなそれを目指していることは承知の上だ。自分もスポーツをやっているから、結果が出ることの喜びはすごくよく分かる。


でも小説になったとき、求められるのはたぶん誰が読んでもすごいと分かる結果じゃない。「県大会優勝」とか「全国大会出場」とかじゃない。


好きで頑張ってることだって苦しくてやめたいときがある。何か他のことで上手くいかないとき、スポーツも頑張れなくなる瞬間がある。
そんな苦悩や葛藤と向き合う姿に力をもらっている気がする。


どんなに頑張っても結果が出ないかもしれない。
でも、そこに向かうのが自分だけじゃないなら、もう少しだけ踏ん張ってみようと思える。


人が抱いている想いとか、置かれている状況とか、生きてる人みんなの後ろにその人の背景がある。
それを教えてくれる。忘れていても思い出させてくれる。

だからスポーツ小説が好きだ。


(読了日:2021年8月22日)

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