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独身時代、20半ばごろとくに私は音楽をよく聴いた。その頃はCDを買ったり、レンタルをしては一人部屋で、なにかを噛み締めていた。わけがわからず、泣いているときもあった。
『防波堤で見た景色』というBEGINの曲に出逢ったのもその頃。海を感じさせるメロディーで、とても好きだったけれど、なぜその曲がこんなに好きなのかよくわからなかった。海も旅行も全然興味がないのにな。と思っていた。でも好きだった。
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ときがあっというまに流れ、結婚し、こどもが生まれ、慌ただしく暮らす中、一度もこの曲にふれたことはなかった。
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それから10年近くたったついこの間。日曜日の朝。夫と二人ホームセンターに向かう車中だった。ランダム設定になっているオーディオから突然この曲が流れた。「防波堤で見た景色」。
「あ、わかった、、!」
と叫んでしまった。
「ちょ、ごめん黙って」としゃべってもいない夫にむかって言ってしまうほど興奮していた。
昔習っていた大好きなそろばんをぱちぱち弾くような。。
「わかった、わかった、こういうことか」
歩道橋
捨て看板、
立体駐車場
いく場所なんてどこにもない
(BEGIN防波堤で見た景色より)
この言葉が曲全体に染み渡ってるのか。
とくに捨て看板。
思い出がさびてまがって転がってるような感じ。いい、いい。
なんでわからなかったんだろう。これが好きなんだと、なつかしいけれど新鮮な気持ちになった。
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家に帰って昔から変わらず好きな曲たちの歌詞をスマホで調べてみた。共通点があって、おもしろくて、にやにやしてしまった。家族に話したけど、あんまり伝わらなかったから、言わないほうが秘密っぽくてよかったかな、とも思った。
『アパート』『うすぐもり』『喫茶店』『枯れ葉』『電車』『電灯』などなど
好きな曲にはこういった言葉が入っていた。
不思議だけど、ほーほー、そうだよなと思った。
※ちなみに電車が出てくる歌は、車内の景色ではなくて、夕暮れや夜を通る外から見た電車ばかり。
もう少しときがたったら、なぜこういう言葉や景色がわたしを震わせてくるのかわかるのかな。
楽しみ。ありがとうBEGIN!
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