私的国語辞典_表紙絵2

私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション34『肩(かた)』



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セレクション34『肩(かた)』



(註 今回は『肩』を使った熟語をどれだけ沢山組み込めるかチャレンジします)




高橋が最近スランプに陥っている事に真っ先に気が付いたのは、外ならぬ僕だった。
我が陸上部のエースである彼と2年間を並べてきた僕だからこそ、か。
インターハイ800mで彼が日本新を叩き出したのが1年前。
この一年間で風を切っていた彼が、3年の地区大会を間近に控えたこの時期にスランプに陥る事になるとは誰も想像できなかっただろう。

「高橋、大丈夫か?」
僕は身体をくの字に曲げながらで息をしている彼に声をかける。
「ああ、かなりヤバい」
そう言った彼の表情は、しかし明るかった。
「何でヤバいのに笑ってんだよ」
僕は苦笑しながら、ついさっきコーチに彼のを持つような返事をした事を少し後悔する。こんなに簡単に諦めるのか。
「いや、これでの荷が下ろせるかな、ってさ」
その言葉に頭に血が上りかけたが、彼の悲しげな笑顔に、の力を抜く。
「まあ確かに、去年からメーカーさんとか入れしてくれるようになったからな。プレッシャーもハンパないわな」
僕は内心の羨ましさを必死に押し隠し、平然とした口調でフォローを入れる。
「そうなんだよなあ。この一年、調子に乗ってたツケが来たのかなあ……」
スランプのショックが予想以上に大きいのか、彼はその場に座り込むと、大きな溜息をついた。
「まあ、さ、を落とすなって。きっとよ、成長が次のステップに進んだんだよ、お前は」
僕の言葉に、彼は思わず吹き出す。
「俺はなにか、卍解でもできるようになるのか」
ああ、きっとな、と言って僕は彼にを貸す。
彼は仕方ないな、と呟くと、僕の手を取り、再び立ち上がった。


(すいません、これが限界でした。ちなみに『BLEACH』大好きです)


『肩(かーた)』
 1 人の腕が胴体に接続する部分の上部、および、そこから首の付け根にかけての部分。「―をもむ」「―を組む」
 2 動物の前肢や翼が胴体に接続する部分の上部。
 3 衣服の、1に相当する部分。「―にパッドを入れる」
 4 物の上部のかどの部分。「―書き」「各句の―に番号を付ける」
 5 地形・物の形などの、1に相当する部分。「道路の―」「壺の―」
 6 山頂から少し下った所にある平らな所。「―の小屋」
 7 球などを投げる力。「―が弱い」
 8 物をかつぐ力。「足をくじいた友人に―を貸す」
 9 背負った責任。「乗客の安全は運転士の―にかかっている」
 10 新聞の一面左上端を占める記事。多くの場合、トップ記事に次いで重要とされる。→頭(あたま)
 11 《肩に倶生神(くしょうじん)が宿っていて、運命を支配するという俗信から》運。めぐりあわせ。
  「此方等のやうな―の悪い夫婦なれば」〈鳩翁道話・一〉

(大辞林より引用)

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