私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション98『小屋(こや)』
作者駐:
『私的国語辞典』は全文無料で閲覧が可能です。ただ、これらは基本『例文』となっておりますので、そのほとんどが未完となっています。
基本的にそれらの『例文』は続きを書かないつもりではおりますが、もしどうしても続きが気になる方は、投げ銭して戴ければ有料部分に続きを執筆いたしますので、よろしくお願いいたします。
セレクション98『小屋(こや)』(388文字)
スキーの最中に猛吹雪に遭遇した彼は、気がつけば紛れ込んでいた林の中にひっそりと建っている古い丸太小屋を見つけた。何かの作業倉庫だろうか、小屋の脇には薪が積まれ、ござのようなもので覆われている。
比較的新しいように見えたござの藁に生活臭のようなものを微かに感じた彼は、文字通り藁にもすがる思いで小屋に近づいていく。
とめどなく降り続く雪が視界を遮り、横殴りの地吹雪に意識を失いかけながらも、彼はなんとかドアの前にたどり着いた。
ドアは引き開けるタイプだったが、幸いなことにドアの前の積雪は少なく、開けることに支障はないようだった。
彼は倒れ込むようにドアに近寄ると、ドアにもたれ掛かりながらノブに手をかける。
幸運なことに、ドアに鍵はかかっていなかった。
彼が歓喜の声を上げながら一気にドアを開けた瞬間、
中から飛び出してきた巨大な舌に搦め捕られ、そのまましゅっ、と室内に引き込まれていった。
(388文字)
『小屋(こーや)』
1 小さくて粗末な建物。仮に建てた簡単な造りの小さな建物。「掘っ建て―」
2 雑物や家畜を入れておく簡単な建物。「物置―」「うさぎ―」
3 《もと仮設の粗末な建物であったところから》芝居・見世物などの興行をするための建物。「―を掛ける」「見せ物―」
4 平安時代、京都の大路に設けられた、衛府の役人などが夜回りにあたるときの詰め所。
5 江戸時代、城中または藩主の藩邸にあった下級藩士の住居。
6 家の天井と屋根の間の部分。
(大辞林より引用)
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