私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション49『ギア(ぎあ)』
セレクション49『ギア(ぎあ)』
私は今、百貨店の屋上にあるベンチに座り、階下で購入したカップアイスを食べながら、見知らぬ子供達が遊具で遊んでいるのをぼんやりと眺めていた。
体中から汗が吹き出るのは、夏の熱い陽射しのせいか、近くにあるエアコンの室外機のせいか。
「……久しぶりの駅前散策だったんだがなあ」
私は半ば溶けているアイスにスプーンを挿す。
「『バーゲン』かぁ」
嫁さんと娘は、入口のポスターを見て変なギアが入ったらしく、待ち合わせ場所だけ指示して、戦場へと駆け去っていった。
「暑いな……」
私はぽつりと呟くと、見知らぬ奥さんの冷たい視線を受け流すように空を見上げる。
「……昼は蕎麦だな」
私はうんうん、と頷くと、溶けたアイスを口に入れた。
(300文字)
『ギア(ぎーあ)』
歯車。また、歯車を組み合わせた動力伝動装置。ギヤ。「変速―」
(大辞林より引用)
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