私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション37『かな(かな)』
セレクション37『かな(かな)』
「原田さん、今大丈夫かな?」
月末の締めの作業中、背後からやや嫌らしめの声が聞こえ、私がイラッとしつつ振り返ると、やはりそこには事務課長が立っていた。
「大丈夫な訳無いですが、何か?」
「ああ、忙しかったのかな?ちょっと悪いんだけど、手を貸してくれないかな?」
ああもうウザい。
「見ての通り、無理です」
私のバッサリした返事に、このおっさんは露骨に嫌な顔をする。
「いやあ、その作業は今やらなくても大丈夫じゃないかな。それより」
おっさんの喋りを右手で遮った私は、ニッコリと微笑んで口を開いた。
「これ今日中に終わらないと、皆さんの給料が出ませんが、それでも私に何かさせますかな?」
私の言葉に、おっさんは言葉を詰まらせた。
(303文字)
『かな(かーな)』
[連語]
《終助詞「か」+終助詞「な」》
文末にあって、名詞および名詞的な語、動詞・形容詞の連体形などに付く。
1 念を押したり、心配したりする気持ちを込めた疑問の意を表す。「うまく書ける―」「君一人で大丈夫―」
2 自分自身に問いかけたり、自分自身の意志を確認したりする意を表す。「あれはどこにしまった―」「勉強でもする―」
3 (「ないかな」の形で)願望の意を表す。「だれか代わりに行ってくれない―」「早く夜が明けない―」
4 理解できない、納得いかないという意を表す。「先輩に対してあんな口のきき方する―」
[補説]近世以降の用法。
(大辞林より引用)
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