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私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション36『角(かど)』

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セレクション36『角(かど)』

                                  

                                                                                                                                    

駅から自宅までの帰宅ルートをある事情から変更して1週間が経ち、周囲の景色に新鮮味が無くなってきた頃、私はとある角地にある廃屋の庭に、その薔薇を見つけた。
最初はただの薔薇だと思い特に注意も払わなかったのだが、見掛ける内に次第に違和感を感じるようになり、今では通り過ぎる度に言いようのない不安感を覚えるようになっていた。

違和感の原因は、その色だ。

紫色に近い青色の花びらを持つその薔薇が、
あの殺人事件から後、何年も人の寄り付かないような廃屋の庭に咲いている、と言う違和感。 

人の手が入っていない廃屋で、静かに咲き誇る青い薔薇。



私は再びルートを変更しようかどうか、正直迷っている。


『角(かーど)』
 1 物のはしのとがって突き出た部分。「柱の―」「机の―」
 2 物の隅。「ページの―を折る」
 3 道の曲がり目の所。「―の銀行」
 4 人の性格・言動で、一癖あって、他人との付き合いが滑らかにいかないようなところ。圭角(けいかく)。「言うことに―がある」
 5 刀剣の峰に沿って小高くなっている部分。しのぎ。一説に、切っ先。
  「焼き太刀の―打ち放ち丈夫(ますらを)の寿(ほ)く豊御酒(とよみき)に我酔ひにけり」〈万・九八九〉

(大辞林より引用)

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