私的国語辞典_表紙絵2

私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション23『おい(おい)』



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セレクション23『おい(おい)』


                                                                                                                                                                          

私は床の間の食卓につい先程買って来た箱を置くと、おもむろに箱を開け、中に入っていたデジカメを取り出し、早速ファインダーを覗き込んでみた。 
妻の許可を得てから購入まで1年、実質30年ぶりの一眼レフに心が躍っているというのもあるのだろうか、明らかに自分がにやけているのが解る。 
(使い方は良く解らないが、……まあ時間はたっぷり有るんだ) 
私は苦笑しつつ、カメラをゆっくりと背後に向ける。 

「おい、カメラ買ったぞ。約束通り一枚目はお前だから、じっとしてろよ」 

私はファインダーに映る妻の遺影に向けて、静かにシャッターを切った。 

(254文字)

『おい(おーい)』
 [感]
  1 呼びかけたり、注意を促したりするときに発する語。主に男性が同輩・目下に対して用いる。「―、待たないか」
  2 呼びかけられて軽く答えるときの語。「―、合点、承知の助」
  3 やや驚いたときに発する語。おや。おお。「―、この君にこそ」〈枕・一三七〉
  4 思いついたときなどに発する語。おお。「―、さりさりとうなづきて」〈源・玉鬘〉

(大辞林より引用)

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