私的国語辞典_表紙絵2

私的国語辞典~二文字言葉とその例文~ セレクション74『稀有(けう)』



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セレクション74『稀有(けう)』(293文字)



『ご覧いただけますでしょうか!あの光り輝く星が、今夜忽然と消失することになる惑星グングニルです!』 

テレビの向こう側で、若い女子アナがテンション高く叫んでいるのを、私は琢也と肩を並べてぼんやりと観ていた。 

『これほど地球の近くで惑星が爆発消失するのは、歴史上もっとも稀有な例となります!爆発による地球への影響は無いのでしょうか!』 

「あほか。どんだけ離れてる思とんねん。衝撃波来んのなんて、何時の話や」

 私の隣で呆れたようにツッコミを入れる琢也に、私も深々とため息をつく。



「そやな。
 あんたが次に自分ちに帰ってくるのと、どっこいちゃうか」



私がつぶやくように言うと、
琢也はぐう、と言葉を詰まらせた。 

(293文字)

『稀有(けーう)』
 [名・形動]
  1 めったにないこと。とても珍しいこと。また、そのさま。まれ。
   「―な(の)出来事」
  2 不思議なこと。また、そのさま。
   「ここに―なは『いるまん』の『しめおん』じゃ」〈芥川・奉教人の死〉
  3 とんでもないこと。けしからぬこと。
   「―のわざする男かなと、ののしるときに」〈宇治拾遺・二〉
  4 (「希有の命」の形で)危うく死を免れること。
   「平氏の大将維盛、通盛、―の命生きて加賀国へ引き退く」〈平家・七〉

(大辞林より引用)

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