26.イメージの中のおばあちゃん像を覆す「みっともない」を嫌う人
子どもの頃から本が大好きだった私にとって、『おばあさん』とか『おばあちゃん』という存在は、こんな風でした。
・白髪頭をひっつめ髪にして白い割烹着姿で縁側にいる人。
・魔法使い。
・自分が生まれる前に天国へ行っちゃってる人。
・常に穏やかで優しい人。
実際の私のばあちゃんは、父方祖母が最初のイメージに近い感じですが、あまり接点はなく、さらには私が幼稚園児の頃、病気で早くに他界しました。
そうなると、私にとってのおばあちゃんという存在は、今回皆さんにお話ししている介護したばあちゃんとなりますが、このばあちゃんは私が生まれた時、43歳と若かったしおしゃれ大好きな人でしたから、本から得たイメージのおばあちゃん像とはかけ離れた人でした。
考えてみれば、今尚、日本女性のライフスタイルのお手本として君臨される存在・向田邦子さんと2歳しか年齢が違わないのですから、そこだけ考えるとおしゃれ大好きも世代なのかなと今では納得します。
しかしながら、ばあちゃんは人の身だしなみや生活についても「みっともない」と平気で言う人でした。
例えば…
親戚宅の庭が雑草が生えていれば「みっともない」
急にばあちゃんに呼び出された母が、化粧せずにすっ飛んでいけば「化粧もしてねんか、みっともない」
…とまあ、言われちゃうんです。
これは病気になってからも変わりませんでした。
私は孫なので、大人になってからは、あからさまに「みっともない」と言われませんでしたが、この「みっともない」でいろいろ迷惑を被りました。
子どもの頃はニキビができてきた時期に会ったら、「あれじゃみっともない」と母に言い、ドクダミを干したものを持たせて「煎じて飲ませろ」とやられたり…思えばこの頃のばあちゃんは、自分用の化粧品は1本2万円するものを使っていたらしいですけど。
お小遣い貯めてやっと買った、当時はまだ珍しかったラベンダーの苗を植えておいた、私の花壇の場所を「こんな草ぼうぼうはみっともない」ときれいに抜かれてしまったり。
いわゆる年頃になった時には、たぶん「いつまでも結婚しないのはみっともない」もやられていたと思います。
母が間に入るので喧嘩には至りませんでしたが。
それが、間に誰も入らない2人きりで過ごす介護当番は、ワガママとエゴのぶつかり合いで、しょっちゅう喧嘩していました。
とはいえ、介護する孫は私だけだったので、喧嘩すると最終的にばあちゃんが「寝る」と言ってベッドに入ってしまうので自動的に終了してましたけど。
2度目の脳梗塞発症で病院へ運ばれた時、私はやるせなさと怒りで「だから、しょっぱすぎるん食べるのはダメって言ってたじゃん!」と、ベッドに横たわるばあちゃんに説教してました。
黙って静かに私の言葉を聞くばあちゃんを見て、2度目に倒れて初めて聞いてくれてるのかも…と思ったのも束の間。
ばあちゃんの口から飛び出てきた言葉はこれでした。
「むーちゃんな、その頭は白髪染めか?」
その日、私の髪の毛は白髪染めした髪が伸びて、そろそろ染めようかなという頃でした。
「そうだよ!私の白髪染めなんか、今どっちだっていいじゃん!」
自分の病気より、私の白髪染めが伸びたみっともなさの方を気にする人でした。
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