BTBジノ_バネリ

<茫漠たる手前勝手なCD名盤ご紹介>#12

ジノ・ヴァネリ、1978年リリースの超が三つ位付く大名盤『Brother to Brother 』

*6thアルバム『Brother to Brother 』ジャケの雰囲気も何気に良い。

以前、日本の素晴らしいAORシンガーソングライターの方と、それまで見た外タレの来日公演のお話ししていて、ふと思い出したジノ・ヴァネリ1991年の初来日オーチャードホール。

なんとこの公演をその方も見に行ってた!、と言う話で盛り上がった。

ジノのかなりきらびやかな衣装と悩ましい目線に加え、あるまじき振り付け(!)がやたら印象的だったのだが、「やはり、その手の人だったのかと・・。」という話で大笑い。

とはいえ待ちわびていた来日公演は本当に素晴らしく、兄のジョー・バネリはKeyで参加しており演奏も超絶で、ジノの一連のアルバムの世界観を見事に再現した極上のステージだった。

またその公演には相当数のプロアレンジャーやミュージシャンが見に来ていて、何人かと挨拶した覚えがあり、さすが一世を風靡したMusicians'Musicianだなと再確認した記憶がある。

もう一曲目の”Appaloosa”からそのハイレベルなヴォーカリングとサウンド感とに打ちのめされてしまうのだ。

*『Brother to Brother 』リリース直後のツアー映像から”Appaloosa”を。フレディ・マーキュリーに通じるものがあるでしょ?笑

僕はミュージシャンではないので専門的な解説は出来ないが、このコード進行とアレンジの組み立てが、当時に尋常じゃない事は誰でも聴けば判る。それでいてソウル感たっぷりのメロディアスでフュージョンプログレな感じがとにかく凄い。

そして三曲目は全米チャート4位まで行った屈指の名バラード”I just wanna stop”もうこの名曲は素晴らしいとしか言いようがないのでとにかく聴いて下さい。

*一昨年のライブ映像。衰えは見えない。この曲はカヴァーする人も多い。

アルバムのタイトル曲6曲目の”Brother to Brother”も壮大なフュージョンプログレの7分を超える大曲で、Drマーク・クレイニーのテクニカルでスリリングなドラミングはじめ、ジミー・ハスリップなど参加ミュージシャンの半端無いプレイとアレンジに驚愕する。

*こちらはアルバム収録ヴァージョン。ただ素晴らしい・・。

この『Brother to Brother 』はジノ・ヴァネリ6作目のアルバムだが、個人的には彼の最高傑作であると思っている。

イタリア系カナダ人であるヴァネリ兄弟の完璧に近い楽曲制作力と、いつ聴いても背筋がぞくぞくするアレンジメントは本当に強力だ。

加えて、本作で名手と認知される当時ほぼ駆け出しのギタリスト、カルロス・リオスの縦横無尽で強力なギタープレイがアルバム通して存分に繰り出されている。

ただ、残念ながらカルロス・リオスはこのアルバムを超えるプレイを、その後生み出せなかった・・。


 ともあれ、当時の年代からジノ・ヴァネリはAORに分類されてしまう事が多いのだが、これらの名楽曲たちとサウンドセンスを十把一絡げに出来るはずは無い。

どうしてもというなら、スティーリー・ダンと併せて「AOR特殊群」にして頂きたい笑。

異色を放つこの時期のジノのアルバムは、3年後、A&Mからアリスタに移籍した一作目、1981年の次作『Nightwalker』と並び偉大な傑作を続出した。こちらもヴィニー・カリウタとニール・スチューベンハウスの超強力なリズム隊で、前作を超える「研ぎ澄まし」感がヤバい。

*7thアルバム『Nightwalker』脳汁出まくり必聴の大名盤。

とにかく、この『Brother to Brother 』と『Nightwalker』は当時も今もミュージシャンを目指すなら(別に目指さない方も笑)ジャンルなど関係なく、絶対に聴いておかねばならないマスト中のマストアルバムである。

どれだけのメロディネタとアレンジメントアイデアが詰め込まれているか、そしてどれだけの影響を与えた事か・・。決してオーバーではなく、この二枚が存在しなければその後の音楽業界は輝きが鈍ったであろう・・。

万が一知らない、聴いてないという方は、いいから近くのCD屋に飛び込むか、amazonでポチって下さい笑。

この稿終わり。


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