見出し画像

映画『12ヶ月のカイ』成長記録|2021/05/19

新作に繋がるような機会が今後あると良いのだが…

 よく、「この作品は〇〇を撮っている時に脚本を書いていた」とか「新作の準備をしながら〇〇を撮っていた」という監督さんの話を見るじゃないですか。ああいうこと、今のところ全くないし、『12ヶ月のカイ』を観て亀山さんにこの企画お願いしてみよう!と思う人は多分そんなに多くないんじゃないかと思います。いや、そう言うと語弊があるかな。私にお願いしたいプロデューサーさんがいないんじゃなくて、私にお願いしたい企画が日本にはそんなにないんだと思う。…あれ…どっちにしてもなんか変な言い方になってしまった……。そんなつもりじゃなかったんだが…。

 『マイライフ、ママライフ』はともかく『12ヶ月のカイ』は、SFだし恋愛なのかサスペンスなのかホラーなのか分からないお話しだし、日本の商業映画界隈で「こういう企画やろう」と思ってくれるプロデューサーさんは希少種な気がします…苦笑。まあ、もしいらしたら逆に、確実に仲良くなれる気もするんですが。

 そういう意味で、『12ヶ月のカイ』はちゃんと次に繋がれるか、とってもとっても不安な作品でもあります。監督発信で企画立案するタイプのプロジェクトだったらハマるんだろうな。自分でもそんな気はしています。でも、そこに辿り着くには今のところ、企画コンペで映像化権を勝ち取るか、余程運良く大きな製作委員会を持つかスポンサー会社を見つけるかしないと、方法はない…?あるいは国際映画祭のピッチとか出たらいいのだろうか…。

 誰かに「これ亀山さんにお願いしたいんです!」みたいなこと言われるのも夢ではあります。が、基本的に待つのは向いてないので、それよりもなんか面白いこと自分で考えて「それ面白そうやん!」と言われる方が性に合ってるんですよね結果的に。と、思い込んでおかないと誰にも何も頼まれないのが多少悔しいです。笑

ヒューマンドラマなのかSF映画なのか

 今後、テアトル新宿で『マイライフ、ママライフ』『12ヶ月のカイ』同時に上映した時に方々から聞かれそうな質問、第1位。笑 どっちを今後撮っていきたいの?どんな映画作家になりたいの?と聞かれることは間違いないと思うので、先に答えておきます。

 人間が今この瞬間、どっちに足を踏み出せば良いのかを考えるための映画を撮りたいです。それが撮れればジャンルはどっちだってなんだっていい。ジャンル映画好きの皆さん、ごめんなさい。

 これは私が映画を撮りたいと思った初心にも繋がる話で、ここはきっと一生変わらないと思います。

 これまでの短編作品や中編作品ではその色は薄かったと思う(だから「恋愛映画監督」とか安易な肩書きがついたんだと思う)けれど、「人間とはなんなのか」という問いと、「人間はどうあるべきなのか」という分かりきってるけど一生答えの出ない事柄についてこねくり回して、光と音に還元していくことが、目指す方向性です。

 たまたま、「なぜ女性が人間らしく生きられないのか」を考えた時に、子供を持たない既婚女性の話と働きながら子供を育てて疲弊する女性の話が交差した。たまたま、「なぜ人間は未知のものに忌避感を抱くのか」を考えた時に、ヒューマノイドを買い生活を共にする人間の女性の話が浮かんだ。

 中編作品では色が薄かった…と言ったけれど、もしかしたらゆきおんなの話も、たまたま「なぜ人間は恋をすると熱を持つのか」という問いから生まれた話だったかもしれない。(というか、そうなんだけど)

 一般的には、ジャンルで括った方がお客様にも伝わりやすいし監督としても成長しやすいのだと思うけど、ジャンルは「伝えたいこと」を最も効果的に伝えるためのひとつの手段でしかないので、そこの選択肢を狭めてしまうのは、物語を作る側として、私からしてみれば本末転倒な気がする。勿論、各ジャンルに特化した素晴らしい監督さんたちは世にたくさんおられるので、それを否定するつもりは毛頭ない。けれど、私の場合は撮りたいものがジャンルのもっと向こう側にあるので、「何系?」「ジャンルは?」「作家性は?」と問われても答え兼ねる。

人権映画、かな。

 雑にまとめれば『マイライフ、ママライフ』と『12ヶ月のカイ』は人権映画、もしくは生命体の権利の映画、だと思う。いや、雑だけど。笑

 哲学?思想?なんだろう?もっと的確な言葉がある気もするけど、それを撮りながら見つけていくくらい、気楽に構えても良いのではないでしょうか。

最後までお読み頂きありがとうございました! 「スキ」押して応援頂けたら嬉しいです🤘