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レッド=リーダー?

『五寿司ソロッテ』 第2シリーズー⑤

よい子のみんな! 私はレッド。
そう、戦隊ヒーローのリーダーだ。

リーダーたるもの、責任感が強くなくてはいけない。
上からの指令には忠実に、かつ迅速に対応し
隊員たちが元気に出動できるよう健康に留意し、心のケアも怠らず
世界のみんなを笑顔にするために、日々奔走するのだ。

なーんて、できないです。ぐすん。
そんな器じゃないんだ、ほんとは。
だって私は、私生活では赤川家の四人姉妹の後に
やっとできた男一人。

上げ膳据え膳で甘やかされてはきたけど
自分の意見なんて言おうものなら
怪人よりコワイ姉たちに散々言い負かされ
レールの上に乗せられた人生を歩んできたんだ。

なぜ私に白羽の矢が立ったのかは、いまだ謎。
もしかしたらヒーローずきの2番目の姉の差し金かもしれない。

私は本当は、グリーンがうらやましい。
あの本来あるべき末っ子気質の、のほほんとしたあいつが!
あんな風に生きてみたかった!

🐓

今日もついグリーン村に来てしまった。魂の洗濯に。

あらもー、千客万来だ。
グリーン家の木の陰で、ブルーが指くわえてじっと見てる。

その後方でピンクが、そのまた後方でイエローが
目の前の相手を、ガン見してる。
なんて直線的なわかりやすい視線。
10メートル間隔の、片思いベクトル!

それを統括して見ている私は
やはりリーダーの器であると言えるのか否か?

大体、今日はオフなのに、何みんなユニフォーム着ちゃってんの?
まったくこれじゃ、「5人ソロッテ」だぞ!

「あれ、どうしたの? みんな集まっちゃって。事件? 出動?」
さすがに濃厚な視線に気づいたのか、家から出てきて
のんびり聞いてくるグリーン。

わぁーっと集まってくる村のこどもたち。
「なになに、今日って戦隊ショーなのー? 握手してー」

「で、あの人誰?」 
グリーンが、私の背後をくいくいっと指差す。
え、は? そういや、さっきからやたらと視線を感じてたんだ。

振り向いた私は、驚いた。
そこには、黒のコスチュームを着た新人が立っていたのだ。
ドナタデスカ!
総括していたつもりの私を含めて、全体を見渡していた
あなたこそが陰のリーダー?

私はあわてて卵を産みそうになった。コケッコー。
そう、私の正体は「ニワトリ」だ。トサカはレッドの印。
おんどりだから卵は嘘ね。パサパサパサ。


<つづく>

次の話 → ②-6 ブラック召喚

いつか自分の本を作ってみたい。という夢があります。 形にしてどこかに置いてみたくなりました。 檸檬じゃなく、齧りかけの角砂糖みたいに。