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父の三回忌が終わった。 二年前の二月、凍えるような寒い日に父は逝った。 葬儀の日は…
淡くて、うすいピンク色で、小さめで。 おとめつばきは、私が別れの棺に入れた花。 …
バーでウィスキーを飲む。今宵は月も出ている。 仮に、山の上ホテルのバーとしよう。 …
風が吹いて、ルノワール展に行った日のこと。 少し待てば、絵の前に行けるくらいのほっと…
今日も間もなく日が沈む。気だるい達成感が体を包む。 駅から家へ帰る道は見事にずっと下…
此処で私が書いているのは、何のジャンルなんだろう。 随筆と書くとなんだか仰々しく、ノ…
こんな夢を見た。 長く細くどこまでも続く梯子を上っている。 天から垂らされた糸が手を差し伸べてきて、きらっと光って翻り、ここだよと主張してくる。 掴みそこねて、堕ちていく。 床に砕け散った硝子素材の自分を見つめる。 その欠片をそっと袋に集めて、涙を流している自分がいた。 もう、あの場所にはいかない。傷つくのが怖い。 でも、運命は行かないことを許さなかった。 * 所詮、素人だからと言い訳をして文を紡いてきたことを、そっと告白します。 出逢った人た
中原中也の詩に、「宿酔」がある。 宿酔《しゅくすい》、いわゆる二日酔いである。 私…
ライアン・マッギンレーは、アメリカの若手写真家。 まったく大佐などとは関係ないので…
これは、第一話「父の本棚」の、その後の話である。 先日、父の本棚にある日本文学全集に…
親しい人たちから、写真の良し悪しって何かと聞かれることがあって。 これはね、とっても…
社会人向けの写真教室に通ったきっかけは、またもや父であった。 私の人生の重大決定事項…
私の右目の視野は、少し欠けている。 数年前に原因不明の右目痛を起こした際の後遺症で…
南半球の南十字星、サザンクロス。 かつて十字架座と呼ばれた、いちばん小さい星座。 あなたはみんなに人気のロマン星。 北十字星、ノーザンクロスの対極に光っている。 さそり座が山麓に沿って寝そべる夜空。 そんな南十字星とまちがわれてばかりのニセ十字星。 私は南十字星より先に君を見つけ、哀れみのまなざしを届ける。 あれに騙されてはいけないよ。 南十字星とちがって正式な星座じゃないんだから。 誰が決めたの? 偽物だなんて。 同じように空に光って、こっちに手を振っているのに。