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Photo by
kohrogi
とある表層的な暴力の話
ある日、同級生が犬を取り囲み、暴力を振るっていた。
犬はそれでも吠えることをやめなかった。蹴られても棒で叩かれても。
「あの犬はマトモじゃない」
そう言って同級生たちは立ち去ったので、犬の近くに寄ってみた。見つめる、手を差し出す、しゃがんで視線を合わす。
吠えることには変わりないが、基本的にこの犬に、人、というか私に対して敵意は持っていないようだし、あんなに叩かれ蹴られても、目は生きていて、尻尾も巻かず、毅然と座っていた。
飼い犬か捨て犬かは分からないが、あの強さならどちらでも生き抜くだろう、と私は帰り路についた。
またある日、同じ同級生が、今度は猫を囲み、蹴ったり叩いていた。
猫はそれを耐え、時々顔を上げては同級生をジッと見て、顔に唾を吐かれていた。
「あいつはイジメがいのない猫だ」
と同級生たちは立ち去ったので、私は猫に近寄った。どうにも奇妙な猫で、私がどうしたら良いか迷っているのも、敵意がないのも察しているようで。
私は何かしてあげなければと、唾まみれになっている顔を拭いて、お前は何をしたの?と聞いたら、高らかな声でニャオーン、と鳴いた。
恐らくあの猫も、しぶとく生き残るに違いない。
以来私のカバンの中には、ドッグフードとキャットフードの缶が常に入っている。
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