暇だからこの国をひっくり返す方法を考えてみた

 まず第一この国は民主主義国家だ。と言えども、一人のアジテーターが国を動かすことができないように、多重チェックするシステムができ上がっている。当然、政治家としてうまくやっていったとしても、国の仕組みそのものを変えることは不可能だ。一政治家が自分の信念によってできることの最大は、ある特定の種の政策を実行に移したり、税金を増やしたり減らしたり、その税の向かうの先を大幅に変更したり、日本の国際的な立場を強めたり弱めたり、ということくらいだろう。
 この国の政体そのものを変えることは不可能だと思われる。

 それよりはまだ、この国の一部地域を五十年ほどかけて地盤を固めて小規模な独立した都市国家を建設する方が現実的だ。(それも夢物語であるが、おそらくこれは不可能ではない。それに一度でもこれが実現すれば、追従する都市も増える。その結果として、この国の仕組み自体が解体を余儀なくされることはあり得るかもしれない。その場合なら、社会の憎しみを隠したまま、この社会を滅ぼし、かつ、よりよい社会を作りだすこともできる)

 都市国家の建設……まぁそれも案のひとつだ。

 他は? うーん。

 あんまり私に介入する余地はない気がするが、中国との関係性を利用して、日本を不安定にすることはできると思う。
 というか、政治的な流れに乗じてことを起こせるような立場にあれば、その時その時で有効な案をとって、この国を弱らせたり、滅ぼしたりすることは意外と簡単にできるかもしれない。
 売国奴作戦。あまりにも悪趣味だし、それでこの国を弱らせても、社会がよくなったり、根本的にひっくり返ったりはしにくいと思う。却下。この国そのものが弱くなることは、社会がさらに劣悪になることにしか繋がらない。


 都市国家。北方領土問題を利用するのも手かもしれない。
 あの地域は政治的に不安定だ。アイヌの文化も……いやしかし……
 中国の強欲を利用するのも手。日本人が、中国に対して友好的な独立国家を日本内部で作ることが現実的な射程に入ってくれば、間違いなく中国は協力してくれる。金の問題は何とか……

 日本の社会のメディアは、ほんの少しではあるが、確かに政府のためにある程度の情報操作をしている。インターネット上の世論と、テレビ上の世論の間には、若干の乖離がある。それが拡大していく流れにあるのなら、それをうまく利用して、実際の世論に合わせるような意見を言い続ければ、ある程度の信用は勝ち取れるのでは?
 大衆が理解できなくて、知ると反対しそうな、成立させなくてまずい法案等は、隠される傾向にある。それは政治家やメディアの立場からすれば正当であるし、私はそのやり方自体を間違っているとは思わない。だがこの社会に対するマイナスイメージを植え付けるためのカードになりうる。
 この日本社会を「敵」だとみなすならば、今の日本社会(及び政府)はそもそも斜陽にあり、信用も失われていく方向にある。選挙に対する関心の低下も好都合だし、馬鹿が増えているのも、利用しやすいという点では都合がいい。

 日本はくさっても民主主義国家だから、ある程度の割合の人間が支持している主張を、政府は無視できない。そして社会を転覆するためには、小さな、かつ致命的な一撃を加えるのが効果的だ。それ自体は小さくて取るに足らないような出来事に見えるが、それがひとつの社会的な流れとなりうるような、一撃。小さな事柄でも、他のものが誘発されて広がっていくと、手の付けられない大問題になる。

 日本の国力を落とさず、民衆に憎しみや怒りを抱かせず、社会そのものは豊かさを維持したまま、その社会自体の枠組みを破壊する。

 どこか小さな自治組織を乗っ取って、その土地を管理し、ひとつの独立した地域にしたうえで、諸外国と関係を結び、独立を承認させる。いや、台湾すら独立は承認されていないのだから、承認されるのは無理だろう。

 都市国家作戦は、多分この先の世界の情勢次第ではありうる。先にヨーロッパかアメリカとかで誰かがやるかもしれないし、その場合なら日本でそれを起こすことも可能になるかもしれない。
 あと中国は台湾を手に入れようと焦りつつあるから、その情勢次第でもある。世界全体が台湾を中国から守り、そのような独立地域をひとつの国家として認めるようなことがあれば、香港にも未来はあるし、同じように、新しく都市国家を作ることも可能になる。

 特に台湾は重要だ。あそこに今住んでいる人たちのほとんどは中国の血筋の人たちで、本国との違いは民族ではなく、思想の違いだ。
 つまり「思想が違うのであれば、民族が同じでも、別々の国家として独立することが許される」ということが世界全体でひとつの流れとなれば、日本人の中でも、この社会の気質に合わない人間が集まって新しい国家を建設することも、肯定されうるのではないか?

 日本は台湾に対して友好的だ。これは確かに……

 国民、領土、政府、軍隊。国を作るのに必要な四つ。まず国民は無問題。軍隊も、見せかけだけでいい。そういう国家は多い。政府は領土問題が解決しているなら、大丈夫。既存のものを改良すればいい。日本は県議会市議会等、仕組みがきっちりしているから。
 一番の問題は領土。そこが日本であるという意識の薄い地域でなくてはならない。沖縄か北海道。それか、本土から離れた島々。日本には結構そういう場所が多く、中国がそのような地域を狙っているのも事実。それをうまく利用すれば? いや……


 なんか、思ったよりも楽しいな。言っておくけど、これはあくまで冗談だし、本気で実行するつもりなんてないし、そんなの無理に決まってる。
 にしても、こういうこと考えている間は社会への憎しみ忘れられるな。夢物語だって分かってても、さ。可能性があるってだけで、少しは呼吸がましになる。
 どう考えても適わなそうな巨人の弱点を探るのは、楽しいよ。実際にそこを攻めるのは不可能だとしても、さ。

 でももしさ、二百年後くらいに世界中で都市国家乱立したら、私預言者っぽくなるんじゃない? ふひひ。

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