柔らかい文章がお好きなんでしょう?

 柔らかい文章の方が読みやすいし、理解もしやすい。どんな内容でも、柔らかく書いた方がいいんじゃないかと思うときさえある。
 でも私には私なりの書き方があるので、なんでもかんでもそうしないようにしている。

 それに私は強い言葉が結構好きで、熱く語ると決めたからには、それはもう峻烈に、バシっと言い切るし、汚い言葉も普通に使う。
 そうして結果的に誰かの心を傷つける。でも私は自分の好きなもので人を傷つけられるなら、それは正当だと思っている。
 あるいは、そう望んで自分が憎んでいるものを傷つけてもいいと思っている。別に殺すわけじゃないし、もしそれで死んでくれるなら、嬉しいとさえ思う。
 人間……いや「私」と言っておこうか。私はどうあがいてもそういう生き物であるし、そういう生き物でなくてはならないと思っている。

 鋭い言葉で人を殺せるなら、それは悪い事ではない。物書きとして、それくらいの苛烈さと覚悟を持っていないといけない。どれだけ柔らかく、丁寧に、綿密な配慮をしても、言葉が人を貫く可能性はゼロにならないのだから。むしろその柔らかさが、丁寧さが、行き届いた配慮が、それがない時よりも強くその人の心に突き刺さる場合もある。言葉とは、本質的に凶器なのだから。

 私は私の品性に従って言葉を選ぶし、私の趣味に従って人や意見を攻撃する。
 それは私の気持ちを満たすためでも、欲望を満たすためでもない。その根拠に私は、自分の攻撃性に間を持たせることにしている。書き終えてから何日か下書きのまま残しておいて、情熱を忘れたころに見返して、自分の趣味に合っていた時のみ投稿している。
 そこには美しさがなくてはならない。ただ攻撃的なだけでは、くだらない。

 ともあれ、今私は攻撃性について語ってはいるが、文章自体はとても柔らかくなっていると思う。選ぶ単語は厳しめだけれど、ゆっくりと、穏やかな気持ちで書いている。
 こういうのを感覚的に受け取れる人はけっこう多いのではないと思っている。

 柔らかい文章の方が読みやすいよね。受け入れやすいよね。

 時々私は、柔らかい文章で人を傷つけることができないものかと考えているよ。
 うまく誘い込んで、ぎゅっと心臓をつかんで、ニヤリと笑う。そんな文章を書きたいな、なんて。

 どう思う? ダメかな? ちょっと考えてみてよ。

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