世間離れ

 昔から芸能人の話とかされても全然分からない。テレビは見ないし、ネットニュースもできるだけ目に入らないようにしている。
 どちらも少し見ていた時期はあるけれど、体調が悪くなったのですぐにやめた。

 効果音は大げさだし、みんな演技染みている。それなのにまるでそれが「本当の自分」であるかのように振る舞ってるのだから、余計性質が悪い。
 私は芸能人だとかユーチューバーだとか、そういう生き物のことがあまり好きになれない。しょせんは高級な道化役者じゃないか、と思ってしまう。もちろん道化役者は道化役者で歴史的に重要な役割を果たしてきたと思うけれど、それでもやっぱり自分の体と人生を他人の娯楽のコンテンツしているということに変わりはない。
 どうにもそういうものに、本能的な軽蔑を覚えてしまう。

 それに憧れる友人たちの気持ちも理解できない、と言いたいところだが、別にそういうわけではない。

 皆から注目されて、いつも何らかの評価を受けている。知り合いもみんな知っていて、何かあるたびに話題にすることができる。容姿が優れていたり、人格が優れていることもある。

 憧れる理由はいくらでも持ちだせる。でもこうして言語化してみると、やはり馬鹿みたいだ。

 娯楽は大事だ。でもどの娯楽を楽しむかはそれぞれの気質と生活習慣によるし、皆が皆芸能人を愛好しているわけじゃない。
 読書をしない人はきっと本を書く人や読む人に全く興味を示さないし、それについて熱く語る人を見ては「何が面白いのか」と軽蔑の感情を抱くことだろう。

 そこにはきっと高い低いはないし、ちょっとした趣味の問題であるから、あまり余計なことは言わない方がいいのだろうと思う。

 しかしどうにも、見たくもないそういう情報が必ず向こうからやってくるのはうざったい。ま、お互い様か。
 寛容であろう。

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