ロバと暮らしたいなーん

ギャリコの短編集でロバ飼いの少年の話があった。少年は先の大戦で両親もろとも失い。孤独の身。それでも朗らかな雰囲気を纏い、闊達としている。この手の話の定石は凡そ街の中で爪弾きにされ、荒み、でもロバがいるから僕は大丈夫と話がまとまりがち。今回ばかりはそうではなかったところに惹かれた。
孤独の身で纏うのもらおんぼろ、普通なら死んだ眼をして爪弾きにされてもおかしくないけれど彼にはロバがいた。
そのロバは体毛の兼ね合いで常に微笑んでるように見えるらしい。だもんだから、少年はいくら辛くて酷い仕打ちにあったとしてもロバの顔を見て眠れたらニコニコ。
そう言う態度だから街の人も一目置いてたんじゃないかな。
話はというと、ロバが病気を患ってしまう。少年にとっても一世一代の危機が訪れたワケ。
それからロバの病気を治そうとえっちらおっちら話は進む。
結末はというと、どっちつかずだったな。幸でも不幸でもない。それもまたよかったな〜。変に道徳臭くなくてスキ。

もしペットを飼うんだったらロバを飼いたい。ロバ。驢馬。優しくて慈愛に満ちた目をしてる。栗毛色がいいなあ。触らずとも見るからに柔らかそうな毛色をしていてほしい。触れるとほんのり温かい。人肌より少し高いくらいの体温。辛いなーと思ったら驢馬に話しかける。これがこうでさー別にそれがなんだって話でもないんだけど、っていう具合に。ロバは黙って聞いてるかたまに相槌をくれる。それかまあ素知らぬ顔して草を喰んでるか、ね。それでもこちらが本当のほんとなマジの大真面目な時は黙って寄り添ってくれると思う。ロバは手足をきちんと畳んで横たわってる。それに背中を預けてその温もりを感じる。ほんでぽつぽつと喋る。その時ばかりは真剣に相槌をくれる。つらいなー。ぐえー。しにてえなあ。ぐあーん。ロバの鳴き声は知らないから適当。こっちが満足できるだけ話して黙りこくったら。ロバはその純真な徹底的なまでに透いて物事を見るようなつぶらな瞳を閉じる。それに合わせてこちらも眼を瞑り、寝る。ロバは優しい。ロバは温かい。ロバと良き隣人でありたい。

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