既得権益としての日本の知財

最近、中国の知財立国化が目覚ましいと聞きます。
訴訟大国のアメリカと比べて、どのくらいの規模なのでしょうか?
また、両大国を日本を比べてみたら、どうなるのでしょうか。
比較してみました。

特許の侵害訴訟の提起件数

日本、アメリカ、中国の特許の侵害訴訟の提起件数を、2010年から2017年までに比較してみました。

訴訟大国と言われている、アメリカですが、2013年をピークに減少が続いています。
これは、なぜかというと、アメリカ国内で行き過ぎた特許保護の弊害が、ベンチャー創成などに出てきたためです。

見込みのあるベンチャー企業が、特許訴訟を仕掛けられて潰れていってしまったからです。
もともと、アメリカの特許保護の重視の政策は、日本などの外国のハイテク先進国をつぶすのが目的だったのですが、それが行き過ぎてしまい、自国のハイテク企業も潰すことになってしまったのです。

動かない日本と、動いた中国

一方で、日本ですが、まったく動きがありません。
これは、日本の政策が、法的な安定性を重視しているからではないかと言われています。

中国は、圧倒的な伸び率です。
中国は、情報の改ざんを行っていると聞くから、これらのデータも改ざんされているのではないか、と思うかもしれませんよね。
でも、このデータは、民事案件を担当する民事案件の第一審のデータです。

実は、この司法ルート以外にも、中国では、行政ルートで差し止めも行っていますが、その数はこの数値には入っていません。
つまり、中国は、この数値は一部にすぎないのです。

件数の少なさに愕然とする日本

こうやってみると、日本の訴訟件数の少なさに愕然としますよね。
日本は、アメリカや中国と異なり、懲罰的な損害賠償を認めていませんので、賠償額も諸外国に比べて小さいのです。
最近では、中国の方が、高額な損害賠償金が出ています。

このような背景もあってか、日本の場合は、特許出願を行うのは大企業ばかりです。
日本の中小企業数は、およそ358万社と全企業数の99.7%以上を占めていますが、特許の出願件数に占める中小企業の割合は16.1%にすぎないのです(2020知財白書)。
つまり、言い換えると、全企業数の0.3%の大企業が、83.9%の特許出願を出しています。

日本の知財は既得権益のかたまり

これは、もう、既得権益の話なんですよね。
スーパーリッチな人たちが、世界人口の半数の総資産を持っているのと、何だか同じ響きを感じます。

日本の損害賠償金は、東アジアのハイテク生産国の中では、非常に脆弱な保護しか行われていません。
大企業の既得権益を、中小企や個人が覆す未来は、果たして日本には来るのでしょうか。


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