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知財は、お金を稼ぐツールです。


日本では、防衛出願という言葉が発明されて、積極的に知財を活用しない権利の取得も一般的のようです。でも知財の権利を取って、利益を得るのが、欧米ではオーソドックスな考え方なんですよね。そのためには、その権利にお金を払う人のことを考えなくてはダメなんです。

世界中の多くの人が自分の権利を高く売りたいとか、ライセンスしたいと考えています。最近では、中国人は、積極的に持っている知財の売り込みを考えているほどです。その際にアドバイスするのが、先ずは誰にオファーするかを決めなくてはいけません。

具体的に、自動車を作っている会社へ自分の権利を使ってお金をもらうためには、その自動車会社が使う可能性のあるものではないとダメなんです。
たとえば、トヨタ自動車に自分の権利を高く売りたいとか、ライセンスしたいのであれば、ハイブリッドの発明や、ハイブリッドで使いそうな商標の権利を取らなければいけません。

日産自動車に自分の権利を高く売りたいとか、ライセンスしたいのであれば、自動運転の発明や、自動運転で使いそうな商標の権利を取らなければいけません。
そうでなければ、トヨタ自動車や日産自動車が、あなたの権利にお金を支払う理由がないんです。

誰が権利にお金を払うか

こういうことを言うと、トヨタ自動車や日産自動車が使いたいか、あるいは、使っているかなんて、わからないですという反論があると思います。
でも、実際のところ、トヨタ自動車や日産自動車の人も、自分たちの会社がどのような技術を将来の自動車で使うかは、はっきりわからいのが実際です。

つまり、トヨタ自動車や日産自動車の人がわかっていないような事を、その社員でもないあなたが考えて権利をとるしかないんです。
こう考えると非常に難しいですよね、実際にお金儲けできる権利は、そんなに多くないんです。
けれども、その権利にお金を払う人のことを考えないと、そもそも相手が買ってくれないというのは、事実でして、このことを分からずに権利だけ取ってしまっている人が、本当に多いんです。

どうしたら、相手がお金を払いたくなるか

では、どうしたら、トヨタ自動車や日産自動車のような大企業が、使いたいと思うかを考えていけるでしょうか。
スタンダードな方法としては、トヨタ自動車や日産自動車が申請している権利を詳しく調査していけば良いわけです。
つまり、彼らが今までどのような権利を取ってきたかを調べないで、自分の頭にある情報だけで権利を取ってはいけません。

特許庁で公開しているデータベースを使って、ハイブリッドや自動運転のキーワードを使い検索して、トヨタ自動車や日産自動車が過去に申請した内容を検討しなくてはいけないのです。
特許情報プラットフォームというのが、無料のデータベースとして公開されていますので、これを使って日産自動車が自動運転について、どのような特許を取っているか調べてみましょう。

相手を知る

特許情報プラットフォームは、j-platpatというサイトから閲覧できます。
特許情報プラットフォームという特許庁の外郭団体がやっているサイトなんですね。
最近は、非常に使いやすくなってきています(www.j-platpat.inpit.go.jp)。
このサイトから、「特許・実用新案」をチェックして、気になるワードを入れて、検索するだけです。
この時に、なるだけご自分のアイディアに近く、かつ、短いワードを選ぶのがコツです。

また、「電気自動車 トヨタ」のように、間にスペースを入れると、双方のワードを含んでいる特許や実用新案の出願が出てきます。
もし、いっぱいヒットしてしまったら、さらに間にスペースを入れて、絞り込むと、よりマッチした内容が検索されます。あんまり専門的なワードだと、うまくヒットしないかしれないので、少し上位概念のワードを選ぶと良いかと思います。

どのようなワードが良いかわからない人へのアドバイスですが、あまり絞り込まずに、まずはご自分が考えるワードで検索してみてください。
そして、ぱらぱらといくつか見て行って、どのような文言が、お探しの技術分野で使われているか、確認してみてください。
その出願が、いまどのようなフェーズにあるかは、「経過情報」をみればわかります。

このように、日産自動車が自動運転でどのような権利を取ろうとしているかを調べたり、分析したりするのは、手間もかかるし面倒だと思うかもしれません。

しかし、自動車を作っている会社へ自分の権利を使ってお金をもらうためには、その自動車会社が使う可能性のあるものではないとダメなんですね。
この点を考えずに、自分の頭の中だけで考えて権利を取ってしまいますと、宝くじを当てるのと同じような確立になってしまいます。

権利ビジネスで利益を得るには

実際にビジネスとして、権利を基に利益を得ている人は、この点が、ものすごく丁寧です。
実際には、私のような知財の専門家が、トヨタ自動車や日産自動車にもいて、先ずは彼らを納得させなければならないのです。
権利にお金を払う人のことを考えないと、そもそも相手が買ってくれないというのは、事実です。

どの分野でどのような権利を取るかが非常に重要で、このような検討は出願前にしておいた方が無難です。
また、どのような国で権利を取るというのも、実に大事なことです。

このような検討をしながら、権利をいくつも取ることによって、あなたの取得した権利のポートフォリオがどんどんと良くなります。
もちろん、お金を支払う側の専門家たちからの評価が上がっていくのです。

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