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ネット漫画がお好きなあなた、改正著作権法に注意しましょう!

令和二年に、著作権法が改正されました。
そのうちの一部は、すでに施行されています。
具体的に、どのような内容がされたのか解説してみます。

ネット上の海賊対策の強化

今回の改正の目的は、インターネット上の海賊対策の強化です。
もうずいぶん前から、インターネット上での海賊版行為が、世界中で横行しています。
たとえば、音楽、アニメ、映画、テレビ放送、漫画コミック、書籍、ゲームなどの広い範囲で行われています。
日本のアニメ、映画、テレビ放送、漫画コミックも例外ではありません。

国内に限らず、海外でもコピーが人気です。
アニメや漫画は、中国やタイやベトナムでは、現地語に翻訳された内容がネット上で閲覧できます。
また、海外で生活したことがある人は、わかるかもしれませんが、日本の映画、テレビ放送は、そのままコピーされて、現地の日本人相手に、レンタルビデオショップでレンタルされています。
僕も、よくカリフォルニアにある、日系のレンタルビデオ屋へ行きました。

個人の使用の目的は、違法ではなかった

今回の改正前は、主に日本国内の行為が対象ですが、海外のサイトにアップロードされているものも含みます。
いままで、個人の使用の目的で、音楽や映画以外のダウンロードする行為自体は、違法ではなかったのです(旧著作権法30条)。
音楽や映画だけは、欧米からの要請もあって、早くから違法ダウンロードは、著作権侵害でした。

つまり、漫画や書籍に関する、個人の使用目的は、取り締まりの対象ではなかったんですね。
漫画とかの静止画やコンピュータープログラムの私的目的のダウンロードを、違法にしますよ、というのが今回の改正の目玉です。

月間ダウンロードが1億回を超えていた、漫画村

前に、「漫画村」っていうサイトが、月間ダウンロードが1億回を超えている、なんてニュースがありましたよね。
金銭的には、月間で三千万以上の被害額だったようです。
その後も、結構、似たようなサイトが、文化庁調べでは500か所くらい残っているようです。
いまようやく、これらの活動が、正式に著作権侵害になりました、やっとですね!
しかし、月間で三千万以上の被害額としたら、500か所もあったら、凄い金額ですよね。
年間で1800億円の被害額です。

リーチサイト対策と、侵害コンテンツのダウンロードの違法化が大きな柱

今回の改正では、リーチサイト対策と侵害コンテンツのダウンロードの違法化が大きな柱です。
まず、リーチサイトって何でしょう?
具体的には、漫画村みたいなサイト自体のことを、リーチサイトと呼んでいます。
漫画村のサイトには、リンクが張られているだけで、直接的には、違法にアップロードされた漫画のデータは、他の場所にセーブされています。
このようなリンクが貼り付けられているサイトを、リーチサイトと呼んでいます。

リーチサイト対策(令和2年10月施行済)では、たとえば、漫画のコンテンツごとに整理されている,リンク情報を上げる行為です。
つまり、単に漫画などのコンテンツを違法にネット上でアップする行為以外にも、そのリンク情報を掲載する行為も違法にしたものです。
まあ、侵害サイトへもアクセスできるようにしたサイトも、違法としないとダメですよね。

漫画村は、著作権の直接侵害行為ではなかった

結局のところ、漫画村で問題になったのは、このサイトでは、単にリンク情報を纏めてあげるサイトに過ぎなかった点です。
直接の著作権の侵害行為を、法律的には、行っていないんですよね、ただのリンクだから。そのリンク先には、いろんな人がアップロードした漫画のスキャンデータがあるんです。
つまり、漫画村は、そのような違法著作物へのアクセスを促しているだけなんです。

実際の判決でも、直接侵害ではなくて、侵害のほう助ということで、違法ではあるが、漫画村の差し止めを行うことができませんでした。
他の人が、違法にアップロードしたコンテンツにアクセスできる、「漫画村」のようなサイトも、今回、明らかに違法化となりました。

アプリも対象

アプリもサイトと同様に、改正法の対象になります。
ダウンロードとストリーミングの双方が対象です。
ホスト先が海外でも、日本からアクセスしたら違法になります。
アプリの場合も、直接には、侵害コンテンツを掲載していないので、今までは侵害行為と言えなかったんですよね。
ここも、直接、規制することができるようになりました。

ただ、ここで、侵害コンテンツへアクセスさせるリンクのURLの貼り方に、すこし問題があるように感じました。
つまり、リンクの貼り方が強調されていないような場合は、侵害行為ではない可能性があります(著作権法113条)。
このような法律を掻いくぐって、違法行為を行える余地があります。

また、軽微なものとして、ほんのちょっとであればOKよという除外規定もあります。
たとえば、全ページではない漫画の軽微な程度のダウンロードは、著作権侵害ではありません。
なんか、悩ましいですよね、軽微という判断は、どのくらいの長さの著作物などかにより異なりますよね。

令和二年に、著作権法が改正されました。
漫画などの静止画も、今回の改正で、たとえ私的利用でもダウンロードしたら、侵害になります。
怪しいサイトからの漫画の閲覧は、注意しましょう!


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