見出し画像

『河北新報のいちばん長い日』読んだら蘇ったあんときのこと

『河北新報のいちばん長い日』、年末に読んだんだけど、今更所感。

https://books.bunshun.jp/articles/-/2300


あの日私は東京で大学生をしていました。
そしてあの日からずっと、被災した家族に負担と心配をかけないためにこっちで生計を自立させてできるだけ充実した姿を見せることだけ考えて突っ走ってました。

(家族がみんな生きていたからすぐそう考えることができたので、ある意味幸せな状況)

そんなこんなで前に進まなきゃっていう強がりもあったし、前進したくてもがいてる家族に思い出させるのはよくないのかもというのもあって、あの日の恐怖を誰からも聞いてこなかった。
そういうたぐいの映像や報道からもなんとなく目をそむけてきました。

だから、3.11に起こったことをこんなにしっかり知るのは初めてかもしれない。生々しかったし、何度も本を伏せながら深呼吸しながら読み終えました。海が怖い、とも思ってしまった。

この本を読みながら、思い出した出来事があります。
震災から数週間たったある日のことでした。震災当日に父が送ったと思われるショートメルを突然受信したのです。ずっと通信状態が悪かったから、受信できずにいたものを遅れて受信したんだと思われます。
「沖にでました。ぱぱは無事です。」
たしかこんな感じの内容。(ぱぱはほんとに無事でした。よかった)
このショートメールを受け取ったとき、ドキッとして息が詰まり、あの日の混乱がリアルに伝わってきました。それまで「大丈夫、大丈夫」と言い聞かせてたんたんと生活しようとしてた自分が現実に引き戻された出来事。

そして、この本を読んで改めて現実に引き戻される。
今も、大丈夫じゃないことはたくさんあるなと。

3.11&原発事故がなければ、そこそこ儲かってる漁師のおじょうさんとして、今とは違った人生を歩んでいたんだろうなと楽しい妄想もしたりするけど(笑)、なりふり構わず、ただ生きていくために選んだ今の道(自分なりにその都度納得して選んできた道)も悪くないと最近心から思えるようになってきました。それはきっと置かれた環境が恵まれてるおかげです。

自分の言葉で発信するためにも、目を背けてきたことを「知ること」に向き合わなければ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?