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思い出に勝るもの

2日から、小学校の臨時休校が決まった。首相はただ「要請」しただけなのだろうし、市の学校教育課は「要請」されちゃったんだからした方がいいよね、と言う感じだろう。なんとなーく、の流れ。

でも、なんとなーく、では済まないこともあって、今日は涙のお別れ会だったらしい。子供が小学校6年生なのだ。小中学校では卒業が近くなると、日めくりカレンダーを作る。卒業までの一日一日を大切に過ごそうというわけだ。しかしそれにはもっと深い意味があって、一日一日、子供は気持ちを進学先にシフトしていく。温かい巣から、飛び立つ空へ、不安を少しずつ払拭して思い切って飛び込む日を待つんだ。

それがいきなり休校。親だってびっくりだ。うちはわたしが専業主婦だからまだいいけれども、子供の預け先を探す人は大変だろう。そもそも、預け先が感染しにくい状況とは限らないわけだし。

今日の小学生はみんな、終業式と同じく抱えきれる限りいっぱいの荷物を手に帰って行った。不思議な光景だった。たまたま一緒にいた母が「(戦時中の)疎開みたいだね」と言った。心なしか、子供たちはいつもの元気がなかった。

子供が帰ってきた。「あんまり泣かなかったよ」。みんなは泣いたのかと聞くと、「先生もすごく泣いた」。担任の先生は男の先生だ。すごく生徒思いで一生懸命な方だ。子供たちの気持ちを少しずつ、中学に向けてあげたいと二学期末の面談で話していた。それが突然。……先生は悔しかったんだろうな。

うちの小学校では近くの中学にほとんどの子が行く。でもみんな泣いたそうだ。そう言えば、小学校の卒業式、泣いた気がする。テレビに出ていたどこかの6年生の女の子はしっかり泣いていた。

日数にしたら半月ちょっとでしょうか? それでも卒業する子たちにとっては一日一日が大切な時間だ。突然奪われた時間。それは春休みが長くなった、というだけではないようだ。

ただ、今のところ卒業式はとりあえず縮小してやるらしい。ほんの1時間、来賓、在校生、校歌も国歌も合唱もなし。やらないよりはずっと、思い出に残るはずだ。日和見的に休校を市は決めたのかもしれないと思ったけれど、卒業式の点では感謝だ。

お年寄り、小さいお子さんは外出をどうか控えてください。大事に至りませんように。

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