見出し画像

くも

「くも」違いである。

実はわたしはゴキブリより蜘蛛が苦手だ。理由は、ゴキブリは殺虫剤で一撃必殺だけれど、蜘蛛は何をしてもなかなか退治できない。独身の頃、古いアパートに住んでいたのでよく出没して、いなくなるまで別の部屋に隠れていたりしたものだ。

結婚してからはそういうのは専ら夫の専門ということになったんだけれど、世の中で思われているのとは違って、男性でも大概の人は虫が嫌いらしい。

とは言え、夫のいない時にも虫は出没するので、そんな時は子供のために自分がなんとかしなくてはならない。静かに食事もできない。

先述したようにゴキブリはシュッとやって、亡骸の処理は帰ってきた夫に任せる。北海道出身の友人が昔、「ゴキブリの顔ってよく見てるとカマキリに似てるんだよ」と言って以来、やつとは顔を合わせたくない。万が一の時にはトイレットペーパーで取ってトイレに流す。

問題は蜘蛛だ。あいつらには普通の殺虫剤は効かない。神経に効くというゴキブリ用の殺虫剤もダメ。原始的だけど洗剤。洗剤は色んな虫をダメにしてくれる万能殺虫剤なんだけど、いくらかけてもダメ。ちなみにゴキブリには洗剤で対処できるので、台所に出た時はオススメ。

叩く。考えられない。あの、中身が出ちゃう現象が耐えられない。硬いゴキブリだってできれば遠慮したいのに、へなちょこな蜘蛛は叩く気にならない。

大体、やつらはお亡くなりになる時、なぜかご丁寧に仰向けで死ぬ。手足をぎゅっと丸めたその姿はいかにも弱々しく、倒した時の良心の呵責は半端ない。そんなことは関係なく、皆さんは退治しているのだろうけど……。

そこでわたしが考えたのは「生け捕り作戦」。高校生の時、昆虫学を学んだ先生が顧問の生物部にいたので、虫取り網の扱いなら任せておけ、である。専門は蝶だったけど、網に入れてしまえばこっちのもの。子供用の虫取り網を手に、格闘する。何しろやつらは平たいので、なかなか捕えられないからだ。

しかし我が家ではいまだに「生け捕り作戦」が主流で、夫も網を振っている。

このところ、大型のアシダカグモがリビングに生息していて本当に困っていたのだけど、よく見るとやつは壁に沿っての移動しかしない。壁から落ちることもまずない。意外と無害だ。しかし、同居して気分の良いものではない。 

というわけで数日間の戦いのあと、つい今しがた、夫が生け捕りに成功した!バンザイ!

ところでこの夏のはじめにドラッグストアで蜘蛛専用殺虫剤を見かけたのだが……悩んだ末に買わなかった。薬にやられてふにゃっと仰向けになる蜘蛛の姿を考えると、どうしても手が伸びなかったのだ。自分でもおかしなことだと思うけれども。

ちなみにアシダカグモは本当に益虫で、ゴキブリを食べるそうです。子供がYouTubeで確認済み。一緒に見ようと誘われましたが、お断りしました。その子は小さい時から虫が好きで、今は自分の部屋の窓ガラスの外側に巣を張っているジョロウグモ(未確認)と共棲しているらしいです。人によってそれぞれ。

うちの母は、ゴキブリも蜘蛛も素手でつかんで外に捨てます。田舎育ちって怖い……。

皆さんは虫に対してどんな印象をお持ちでしょうか?ただ気持ち悪いだけでしょうか?せっかく同じ地球に住んでいるのだから、少しはお知り合いになってもいいのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?