記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画「その恋、自販機で買えますか?」大阪上映レポ

場所:大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6F
日時:2023年12月26日(火) 19:30~21:30


○ストーリー

アラサー会社員の小岩井歩は、職場へ来る自販機補充員のお兄さん、山下涼真に密かな恋心を抱いていた。ある日、勇気を出して話しかけ、連絡先を交換することになる。何度も会ううちに2人の距離はより一層近づき、「勘違いしそうになる」と真っ赤になりながら告げる小岩井に、「勘違いしていいですよ」と答える山下。しかし、そこから少しずつすれ違いが生まれてしまう。果たして2人の恋の行方はどうなるのか……。

https://sonokoi-jihanki.com

○登場人物

この話の主要人物は3人です

・小岩井歩(コイワイ アユム)…松田凌さんが演じます
32歳。いわゆる普通の会社員。ゲイ。
(インスタ:https://www.instagram.com/matsudaryo_9/)

・山下涼真(ヤマシタ リョウマ)…田鶴翔吾さんが演じます
28歳。自販機補充員。担当エリアに小岩井の職場がある。
(インスタ:https://www.instagram.com/shogo_taduru/   X:https://twitter.com/shogo_taduru?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor)

・大石(オオイシ)…柳ゆり菜さんが演じます
小岩井の同期。小岩井がゲイであることに理解があり、2人の恋路を見守る。
(インスタ:https://www.instagram.com/yurinayanagi__/   X:https://twitter.com/Yngyrn0419)

○劇場到着までと劇場の雰囲気

初めての土地、右側に立つエレベーターに大阪来たぁぁと心躍らせ、電車の乗り換えにやや敗北しつつ劇場へ

最寄りの十三駅周辺は、大阪在住の友人が何も無いと言っていたので暗くなっていたし不安だったんですけど、居酒屋が多くて想像以上に賑やかで安心しました

夜行バスで当日の朝には大阪についていて、午前中は観光しつつ午後に大本命である劇場に行ったので「第七藝術劇場」の文字を見た瞬間、全身の毛が逆立って毛穴から空気が抜けるような歓喜に見舞われました

同じ建物に音楽スタジオがある影響か、劇場の前には楽器を背負った若者が十数人いて少し入るのが怖かったです

開場前にXを見たら、登壇する田鶴さんの自撮りツイートがあり、同じ場所にいるんかーと当たり前ながら感動し、同作見るであろう人が沢山いて緊張

グッズ買うなりして待って、開場するとポストカードが配られて2人が写真の中でいちゃついているのを見て、これはハッピーエンドだと確信✨

上映してから思ったのですが、私普段耳栓をしないと見られないぐらい映画館の音が大きくて苦手なのに、第七藝術劇場は無くても快適な音量で、室内の温度もちょうど良く、最高の映画館でした

○上映前トーク


撮影タイム


YouTubeでの完成披露上演会を見て、青い衣装を着た金髪ワックス固めのイケメンが出てくるのかと思ったら大阪弁の長身茶髪セーター爽やかイケメンが出てきて、

「これ座っていいんすかね」とか喋り、その横に谷健二監督(インスタ:https://www.instagram.com/kenjitani14/   X:https://twitter.com/kenji_tani?ref_src=twsrc%5Egoogle%7Ctwcamp%5Eserp%7Ctwgr%5Eauthor)

監督によると、当日の田鶴さんはいつもよりテンションが高かったみたい 全体通してもずっとリードする感じでおしゃべりしていました 台本なくてもずっと喋っていられるらしい

田鶴さん「僕が場所によって変えている人みたいじゃないですか」「新大阪駅ついてエレベーターの右側立つとスイッチ入りません?」

映画を撮影したときには関西でも上映することが決まっておらず、大阪まで持って来られたことが嬉しかったそう

東京の5倍ぐらい大阪弁強くて、ホームグラウンド感出ていて驚きました

田鶴さんって話すときに話している内容が誰に対して言っているのかちゃんと理解して、その人の方を向いて話すからトークも上手いし気遣いできる人だという印象を受けました

上演後の谷監督のツイート(今この呼び方でいいのか分からない)から引用すると「なんか地元の後輩と話してる感」 人当たりがすごくいい人だなぁ

その中でも緊張していたのか監督を見がちになっていたり、タイミングを見て手を振ると気づいてくれたりと、お茶目な一面も見ることが出来ました

因みに監督が何度か十三に来たことがあるのに対して、田鶴さんは初めてらしく「、、、、、ねぇ」っていう治安についての感想を抱いてらっしゃった

最初にこの映画についてどれだけ知ってるかというアンケートから始まり、東京で見たか?ネット配信で見たか?原作は知ってたか?映画になる前から知ってたか?今日初めて見るか?など手を挙げるターンに、

それについて田鶴さんが「みんなこうやって手挙げて、なんかの宗教かと思った」と何度も手を挙げる人もいたので慄いておられました

私は原作もほとんど知らず大阪で初めて見る、という松田さん目当ての人間だったので周りに同じく初めて内容を知るという方が何人かいらっしゃって、安心しました

前日の上映会で松田さんが、最近車の免許を取られたという話をしたそうで(日程の都合で行けませんでした)、原作によるとこれからの展開で温泉に行くからそのためだということです

谷監督は、続編が出て温泉に行くなら上と下に分けたい、それか全年齢版とR-18•R-24に分けたいそうです 話を聞くに、少しアダルトな描写があるのかな?

田鶴さん「明日誕生日っていう23歳の人もダメっすかw」
監督「ダメ」
田鶴さん「そこの壁何w」

そのときに田鶴さんが「続編決まってないですけど、そういう話って楽しいじゃないですか」「今回は色々な場所に行ったんだけど、次は温泉のみになるから、ずっと顔赤そう」と、

田鶴さんのこの高揚から本当にいい作品をこれから私は見られるんだとワックワクでした

三巻まで出ている原作の他に、監督のみスピンオフ的なものを読んでいるらしく

谷監督「3.2冊ぐらい読んでる」 田鶴さん「何そのマウント」

「松田さんも言っていましたが」と切り出した田鶴さん、タイトルについている「?」について、2人の恋の行方がどうなるのか、そこを考えながら見てほしいとのこと (はい、すっごい良かったです)

今回、歌は進撃の巨人のEDも歌ったヒグチアイさんに書き下ろしてもらっていているそうで、最後に流れて映画とマッチしているので聞いてほしいとポイント解説

裏話1:主演2人は関西圏出身(松田-兵庫、田鶴-大阪、因みに谷監督は京都)、役者あるあるで関西弁が出ていないかチェックを“一緒に“したと 仲良く鑑賞会してるの最高かよ

裏話2:顔合わせの後、親睦を深めるためにも主演2人で食事をしたとき、田鶴さんは松田さんの顔の小ささに驚いたそうです

本編でも小岩井がマスクをしているシーンがあるんだけど、マスクが特注かってぐらい顔全体を締めていて、田鶴さんが確認で予備をつけてみたら普通の大きさでびっくりしたって

そこが注目ポイントなので、ぜひ見てくださいとおされたのですが 分かります田鶴さん、松田さんの顔は小さい、、、

裏話3:田鶴さんは映画の出演が決まってから進撃の巨人のミュージカルを見に行ったそうで、

リヴァイを演じている松田さんを見て、「この人とボーイズラブするのかって、俺だけ別の意味でドキドキしてた」

「松田さんってカメレオン役者ですよね」と東京リベンジャーズのマイキーの話を交えながら監督と話していました

個人的にはメサイアの海棠鋭利や刀ステの加州清光とかからも、確固たる芯がある中で、キャラを上塗りして自分を作っている人かなぁーと

何がすごいって、物凄い努力している人だって雰囲気や芝居から伝わるのに、そこに至るまでの努力の過程を一切見せないっていうところ ただただ眩しい彼が存在している 強い

裏話4:今回の映画、撮影時間も短い中でほとんど撮り直しをせずに進めることが出来たらしいのだけど、一か所10回ぐらい撮り直したシーンが、

山下の家で小岩井が事故って山下の裸を見るところ 専用の下着を履いて、松田さんの頭で隠す画角での撮影

何度とっても微妙に松田さんの頭がずれてしまうっていう

それについて監督が「今日大きい画面だから、もしかしたらうっすら線が見えるかも」
監督のお茶目さが光った一言でした(見えませんでした)


○内容と感想(ネタバレ注意⚠️)

自己解釈的な感想を持ったり、ただ単に気持ちが上がったところを断片的に書いているので、時系列には沿っていますが内容は飛び飛びです

小岩井視点が多かった作品なので、自ずと小岩井に注意した内容が多くなっています

フロアで山下が補充しているところに小岩井が話しかけるシーンから始まります

事前に少し読んでいた原作では直前に山下の黙考が入るので、どれだけ小岩井が勇気出して話しかけたのか分かる手前、いきなり会話シーンでこちらも心の準備ができておらずドキドキ

その後オレンジジュースを自販機に入れてくれるという交渉をした後、2人が分かれて1人ずつのカットに

顔がアップになるのですが、それぞれさっきの会話を噛み締める表情

このときの山下の(アレンジジュースが好きなんだ、いいな)って顔が特に印象に残っていて、唇結んで心から染み出すような表情がたまらなかったです

あー、この人小岩井のこと可愛いっていう好印象持ったなって視聴者側が気づく演出が素敵

次、小岩井がデスクで鼻歌歌っているところに「最近機嫌良さそう」と同期の大石が話しかけてきます

(因みに大石は小岩井がゲイであることを知っていて、1人で考えてしまう小岩井の背中を押したり、話の中で2人の恋路を手助けしたり、根本に切り込むようなセリフを言ったりと、物語を大きく進めていく重要な役です)

ここでの小岩井のごまかし方が、取引先が大石からの連絡が来ずに怒っているという情報を言うこと

矛先のずらし方はうまいのですが、そこで急に悪戯な様子で話し、席を立ちます

小岩井、今までお花畑のような雰囲気あったのに急に大人の男性出すじゃん、と最初のギャップ

かと思いつつ小岩井が向かった先に、またまた補充をしている山下がいて狼狽

山下に名刺を渡されて、裏にはメッセージが 思わず飲んでいたオレンジを吹き出してしまいます

想いを寄せる相手から名刺をもらう そのときの小岩井にとってここで生まれた小さな繋がりが、大きな転機となりました

小岩井は自分が山下にとってどういう立ち位置になるかをすごく気にしていたはずです 嫌われていないか、引かれていないか

社交辞令もあり得ますが、連絡先を渡したのは明らかに仲を深めようとする証拠 警戒はされていないのかな? 安堵にはなるはずです

しかも相手はメッセージまで付けてくれるという大盤振る舞い

その日の夜、小岩井は家に帰って名刺に書かれていた連絡先を登録します

接点を持てたことは一大事、最初に送るメッセージで悪い印象は絶対に残したくありません

相手がどう受け取るか考えて慎重に言葉を選ぶ必死さに、送信ボタンを送る瞬間の緊張に、思わずこちらも息を止め手に汗を握っていました

やっとのことで送った少々長めの文章に即返信の山下の短文

送られた文章には同じ文量で返すようにと教えられた身としては、山下の文章は少なく感じました

しかし、それは山下が小岩井を待たせないためにあえて選んだ文の長さで、その後の急な名前呼びも含め、小岩井と距離を縮めようとする彼自身の真っ直ぐさだと後から考えると納得できます

なんやかんやで山下から誘い、初めて2人で食事に行きます

集合時間、約束の場所に走って向かう小岩井 着いて息も絶え絶えで、ハンカチで顔の汗を拭くのですが、その仕草の細かいところまで品を感じる歳上のお兄さん感

彼が汗を拭く間、ただただ荷物を持って待っていてくれる山下の優しさ なんなら小岩井の仕事の心配までして謝ってくれる すっごいしっかりしてますよねこの人

山下行きつけの店でハンバーグがのったカレーを頼みます 田鶴さん曰く、このシーンでの食べ方に2人それぞれの個性が出ているから見てほしいそう

ここでの小岩井の話し方が、「あ、、、、うん(苦笑い)」が増えたり、メガネを触るフリで矢鱈と顔を隠したり、明らかに緊張しています(照れている) これだと山下に気まずいって思われないか心配になるレベルで言葉が出ないんです

一方の山下は気づいていないのか、割と普段通りに会話を進めていきます ここで彼のある種の不器用でブレないところに、2人の会話の安定が生まれ始めていて 山下って実は大物では⁉︎と驚嘆

食後に小岩井がタバコを吸いに行きます ここでの独り言「顔が、熱い」 この声色や言葉に小岩井のピュアさが詰められていて、画面越しながら“触れたい“と強く感じるほどの瞬間でした

直後、小岩井がどこにもピントを合わせずどこか遠くを見る描写があるのですが、その瞳が何を見ているかは映されず、生じる違和感 彼の中にあった興奮が、ふっと冷めたようにも見えました

席に戻ると、店内に流れている曲が何か思い出せないと山下 小岩井は、なんだっけ?と少し考え、スマホを取り出します

ここの、ほらっ、あれだってと悩んですぐに携帯を出す姿に現代人として共感

無事曲について分かり、曲が使われていた映画に続編が出ていると、2人で画面を覗き込みます

ここ、YouTubeのPVでも使われている、2人の顔が急接近して気づいた小岩井が慌てるシーン

また小岩井の眼鏡触りが炸裂します 大デレです この時の距離感半端なく良い

作中、飲食シーンが随所にあったのですが、特にこのお店でのシーンは食べ物・音楽を通して2人の距離がグッと縮まっているのが良くわかり、見ているこちらも満たされるような感覚がありました。

2人で夜道を帰ります ここはしばらく後ろ姿で、“身長差のある2人“が歩幅を合わせるように歩くんです、一つずつゆっくりと この雰囲気優しいなぁーってしみじみ

雑談の後しばしの沈黙、意を決した小岩井が山下にカミングアウトをします 「俺、ゲイだから、その、勘違いしそうになる」

“山下くんのことを恋愛対象として見てしまう、それでも山下くんはこれ以上俺と一緒にいてくれますか?“

そういう問いかけだと解釈しました さっきのお店の喫煙所で、彼がどこかを見ていたとき何を考えていたのかが繋がる点

松田さん、田鶴さんが言及したタイトルの「?」マークの結果が問われる最初のシーン

話をする間小岩井が目を合わせられないのに対し、山下は口を挟まず、しっかりと小岩井の目を見ています

仲が深くなりきる前に傷つくことを恐れて話す、小岩井の真っ直ぐな大人らしさ、それでも声が震えている様子に、人間が持つ弱さが丁寧に表されていました

映画の端々からわかる山下の、待つ・受け止めると言うスタンス、包容力に何度も安心させられました

ここで山下から返ってくる言葉は、「勘違いしてもいいですよ」

逆に山下が小岩井に告白します

急展開ですが見ている側としては、大チャンス このまま2人が付き合ってゴールイン!すればいいじゃないかという展開でした

小岩井にとっては幸せになるのが苦しかったのでしょうか、困惑していてここでは踏み出せません

後日山下から、映画を見に行こう、と二度目の誘い

次は告白の返事も聞かせてください、という旨の言葉もありました

ここで山下が次のときには答えを出してほしいと言っている割に、どれだけ返事に時間が掛かってもいいというあべこべなことを言っていて、

結構前のめりになって焦っているなぁという感想がかすめました

映画館前での待ち合わせ 前回小岩井は会社から直でスーツだったのに対し、今回は2人ともプライベートのときの服、私服デート(概念)来たーーっ‼︎‼︎という(私が)完全koのシチュ

これを大阪で見た日が平均気温一桁という寒さだったので、画面の2人の冬服が時期的にも一致して よりリアルに視聴できました 暖かかった

映画中、シアターの最後列中央に座る2人
(後々原作読んで、前に座ると後ろの人が見えなくなるって小岩井が心配していたとありました、優しい)

2人が見た映画の概要は作中語られないのですが、小岩井ボロ泣き 情緒豊かな人間って良い

その横でニマニマしてる山下 山下が小岩井に恋心を抱いているのがわかっているわけですから、いいな!最高の眺めなんだらうなぁ、なんて思いました

すぐ触れる位置にある2人の手

小岩井は、号泣しながら映画に見入っています
ここで山下は小岩井の手をトントンと軽く叩き、スマートにハンカチを渡すんですよね
記憶が正しければ、泣きながらも小声で「ありがとう」という小岩井

山下紳士すぎて、眩しかった

鑑賞後、2人は入った喫茶店で映画の感想を言い合います

興奮気味に語る小岩井に対して「そうでしたっけ?」と内容について曖昧な山下、

「途中から歩さん気になりすぎて」と、微笑みます
ハンカチ渡して、しかもそんな笑顔をさらっと見せて、リードしまくりです

素朴な会話が続くただただ穏やかな空間

そのとき、小岩井の携帯に会社から電話がきます

通話後、山下が小岩井のスマホに付いているストラップに付いて訪ねます

小岩井からは、もらいものだということが告げられるのですが

それに対して「僕も渡したら付けてくれるかなって」と呟く山下

おまっ!そういうことさらっと言っちゃうのね

帰り際、小岩井が向かう方面の電車が運休 明日会議で朝早いということもあり、近くにある山下の家へいくことに

色々アクシデント(お風呂のシーンとか)があった後、

床についてしばらくして、山下が「歩さん、起きてますか」と声をかけます。返事をしない小岩井、山下が起き上がって呟いた台詞が、映画ポスターのオレンジラインの文字

「…好きになってくれたらいいのになぁ オレのこと」

その後山下はトイレか何かでどこかに行ったんですが、実は小岩井の目が開いていて、起きてたんかーっ!って分かります

様子見していたのか、この話特有の焦ったい様子を特に感じたシーンでした

ポスターの表情から、これ小岩井の台詞だと思っていたので意外な相手から告白で嬉しいかも

ここからキーホルダーを巡ってすれ違いの物語が進んでいきますが、力尽きたのでぜひ本編を見て欲しいです(DVD出るそうです!)

・小岩井の喫煙シーン
映画の中で結構出てくるんですけど、最初は小岩井の心の中を出すために作った設定だと思ってたけど、こーれはギャップ萌えを作るためでしょ可愛すぎる

調べると松田さん自身も喫煙者だそうで、インスタで他の役の時の喫煙をしている写真が上がっていたりするんですけど

タバコの持ち方、表情、吸い方、同じ役者なのにこんなに変わる⁉︎ってぐらいバリエーションがある

そりゃメイクとか云々で変わるのは知っているけど、各役の時の向き合い度が半端じゃないんだなって分からせられる演技でした すごく可愛かった

好きだったのが山下の補充を喫煙所で待っているとこ、自分の世界に入っていたのを見られてキョドる

山下に気が付く前の小岩井の顔が、目瞑ってて体の芯とかグラグラでそれこそタバコの煙みたいに揺れてる感じ、中高生みたいに恋楽しんでんなーっていう雰囲気が伝わってきました

最後の方、山下の家のベランダで吸ってて、山下が出てくる
小岩井「起こしちゃった?」
山下「起きたらいなくてびっくりしました。中で吸ってもいいのに」
小岩井「臭いつくと思って」
山下「(小岩井さんの匂い嗅いで、タバコの匂いが)好きなんだって、さっき気付きました」
(ここらへん会話朧げ)

なかなか今喫煙有りの作品って少ないから、OKな役者さんがいると画の幅が広がっていいですよね
(喫煙に賛成している訳ではないですが)

○2人それぞれについて色々思ったこと

・名前
この話、出てくる人の名前がその人物像ととてもマッチしていました

・小岩井歩:小岩井にとって、山下との関係の進め方はまさに「歩く」でした

ただ歩くのではなく、歩み寄ったり、ときには立ち止まって足元を見つめ直して考えたり、その場で地団駄を踏んだり、後退る瞬間もあって、最後には大切な人と歩いていたりする

そのゆっくりでも彼なりの進み方が、私はとても好きでした

苗字の方も、川の流れのような自分を囲う現実の中で、小岩のように右往左往してしまう頼りなさというか、その辺りの細かい表現が、今回松田さんは本当にすごかったです

山下諒真:彼の苗字「山下」は、もともと「山の麓」からきたものです

麓って、平地と山の傾斜が持つそれぞれの利点が重なって、その住みやすさから人が集まるところなんだそうです

山下の、しっかりと構えているのに肝心なところを言葉で言い表せずすれ違ってしまう不器用さが、なぜか寄って(集まって)いきたくなるような人間性を出しているのかと

名前の「諒」、意味は「思いやる」「嘘を言わないこと」などがあります また「真」には「真実」、読み方を「しん」にすると「本当のところ」などの意味が挙げられます

彼の性格は、小岩井に対する「可愛い」などの言葉をストレートに伝えているところに現れているなと

・部屋
小岩井:第一印象が、ベッドふっかふか、でした 毎日ベッドメイキングをしているであろうほどに

これは整えた後に「よしっ!」とか言ってんのかと想像すると、その可愛さに思わず口角が上がってしまいます

全体的には明るいタッチの黄色に統一されていて、特にベッドは原色に近いポップな色味で、そこにあえて入っている簡素な模様もグッドポイントでした

ここまでメルヘンな部屋を見ると、小岩井は意外に身の回りを気にするタイプなのかと

逆にこれは彼から出るあたふた感を強調するための色彩なのかな、など色々邪推をしました 現にあの部屋にタバコの煙は似合わない

彼自身が彼を嫌いにならないために、身の回りを誰かが期待する理想で固めているのようにも感じました

(とは言いつつ大石にカミングアウトしているってことは、後ろめたさはない?いやでもあの感じは大石が勘づいたのかな?)

山下:こちらは小岩井の部屋とは逆に、散らかっている割には物が少ない印象を受けました

直のフローリングや記憶する限りの衣類が灰色と黒のみだったこと、なのに奥の棚にはオブジェが置かれているところ

彼の性格として、本や映画はお薦めされたものしか見なかったり、お風呂に入るときリビングに服を忘れていったり、ベランダでスマホをいじるときに、落としたら大変な持ち方で縁に寄りかかっていたりなど

雑で、かつ興味の振り幅が振れることが極端に少ないのかなという印象

私がそんな性格だと感じた彼が、なぜ小岩井にそこまでの情を抱いたのか?人の心って複雑で面白い

・髪色
(原作者の吉井ハルアキ先生が描く他のBL作品もみてみたのですが、片方黒髪、もう一方が染めているパターンが多くありました)

小岩井:松田さんの黒髪短髪、清潔感半端なくて大好きなんですよね

どこかのインタビューで、“普通“であることが自分の長所、のような話をされていて

今回、いたって“普通の会社員“を演じられて、あぁすごくぴったりだなって

the 日本人みたいな感じ

山下:やはり金髪は20代のヤンチャ、若々しさが出ていて華やかですよね

明るい色なので、笑顔がより一層輝くような、そういう良さがありました

◯まとめ

映画を見るための旅行って初めてでした。友人の助けも借りながらだったのですがすごく楽しくて、私ってこの瞬間の何にも変えられない興奮のために生きているんだと思えました。

みんながみんな何かしらの不安を抱えて生きている今の世の中で、ただ確かに手の中に収まりうる生活を守っていく姿に勇気と優しさをもらえました

幸せだった!感想書こうと決意してからだいぶ経ってしまったけど、書き切ることができて良かったです

誤字、長文、突飛な文章、記憶違い等々、至らない点があったら申し訳ないです

DVDも出るそうですし!しっかり見直したいです

こういう出会いがまたあるように、日々の生活を頑張っていきます

上映後、ポスターに田鶴さんと谷監督のサインがありました

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?