決算短信のスタンダードな読み方と理論株価(A社の場合)
※目的:決算短信で読み取るべき最低限のポイントを押さえる。
※所要時間:20分
※Goal:決算短信で読み取るべきポイントを把握し、理論株価の評価につなげる。
■自己研鑽目的
話題の銘柄について、過去記事での分析で評価するとどうなるかの検証。
投資判断は、自己判断でお願いします。
(記載するまでもないことですが、念のため)
■事例
フォームに数値を入れていきます。
注目されている会社だけあって、すごい成長率です。
23/6期の成長性(計画)は、計画売上を基にした成長性(15.6%)に対し、
実績の成長率は、135.2%というすごい数字で、期初の計画は何だったの?
という感じです。
業績予想は以下のように、決算発表の時期に上方修正を繰返しています。
要因は、ざっくり、需要増による売上増です。
当初:2022.8.xx
変更1:2022.11.xx(売上 110➡150)
変更2:2023.2.xx(売上150➡175)
変更3:2023.5.xx(売上 175➡210)
株価も、特に2回目以降の変更を好感し急上昇していました。
しかし、決算発表を受けて、同日のPTS株価は急落しました。
今後の動向が注目されています。
■理論株価との関係
ここでは、PER・PBRをベースに考えてみます。
PER=15、PBR=1.5 はグレアム係数の考え方ですね。
理論株価がPERベース、PBRベースで大幅に増加しています。
これは、業績絶好調により、PERが大幅改善し、利益剰余金の蓄積でPBRも大幅改善したと見ます。
売上高が昨年実績から倍増し、利益は6倍と、とんでもない数字なので、これくらいは動きます。
PTSの株価の急落は、成長に対する期待が大きすぎたのかなと思われます。
■決算短信(詳細)
売上高が昨年実績から倍増というのはすごい数字で、特に大きな会社だと、設備能力とか人員数などの制約で、ここまで売上高を急増させることはできません。
なので、新しい会社なんだろうな、と予備知識無く推測します。
総資産が7倍、純資産が10倍程度の増加というのも、急拡大で、株価上昇もうなずけます。
一方で、新年度の売上増が、これまでの実績の増加ほどではないところが失望を誘ったようです。
今後の見通しについては、冷静な分析が必要です。
短信を読む前に、前期の有報を見ましたが、会社規模に比してグループ会社が多く、連結決算担当は大変そうだなぁと思いました(小並感)。
BS・PLを見て、あれって思ったのは、売上債権が少ないこと。それから総資産回転率が高そうなこと。
4から1.5に減ってるように見えるけど、おそらく、22/6期が過渡期なのでしょう。
1.5という数字も、かなり高い数字です。
売上債権はほとんどありません。事業モデルによるのでしょう。
在庫は、回転期間が4.5か月から3.5か月に改善しているように見えます。
前渡金を在庫とみなしてみるとかの補正もありかも知れません。
仕入債務は、売上の増加に比してあまり増えていません。
回転期間も大幅に短縮。ただ、海外比重が高いと減るのかもしれません。
BSで気になったのは、ネットでも指摘は多いですが、流動負債の「その他」ですね。
中身はよくわかりませんが、CFのプラス要因になっています。
PLで気になったのは、販管費の支払手数料の増加ですね(1640➡7626)。
あと、当期純利益のうち、非支配株主に帰属する当期純利益が大きいこと。
せっかく利益を稼いでも、半分は外に流れていくんですね。。
CFは、特にないのですが、営業CFの「その他」の14,015は、突っ込みどころですね。
だから何?って感じもしないでもないですが。
財務CFの項目が多いのは、いかにも変化している会社、急成長している会社の印象です。
■まとめ
1時間程度の解析なので、これで会社を分かった気になるのは大変危険です。
会社規模に比してグループ会社が多いのと、非支配株主に利益の多くが流出していくところが気になりました。