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音の面影、最後の想い出(3)

五月一日
今日は平日なので、大学で授業があった。一人暮らしのアパートより遠いが実家から大学へ行った。

五月二日
同じく。
三限目が終わって、母からLINEがあった。
『おばあちゃんが救急車で病院に運ばれました。』

大学から飛んで実家に帰って、祖母の入院した病院へ向かった。
「痰が肺にたまりすぎて、呼吸困難になったみたい。」と、母が説明してくれた。
祖母に、
「俺のことわかる?」
ときくと、祖母は、
「マサルさんっ…」
と、言って泣き出した。
「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
なんで、ばあちゃんが謝るんだ? 何を思い出して泣いているんだ?
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになったけれど、とりあえず、祖母に、
「大丈夫だから、泣かないでいいから。」
と言った。
祖母は眠るまで泣きじゃくっていた。
「今夜がヤマになるでしょう。」
と、医師が言った。

(つづく)

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