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LOVE ALL SERVE ALL 新曲について、その1

もうここのところ頭の中も心の中も風さんの新譜のことでいっぱいだ。
だって、予約していたCD(初回限定版)があまりにも素晴らしくて!
LASAもカバー版のLACAもフォトブックもクオリティ高すぎて、これは1万円出しても安いくらいの価値があると思う。

たくさんの方がすでに言われているが、捨て曲が全くない!
HEHNも完璧なアルバムだったけれど、2作目はもしかしたら前作を超えているかもしれない。
実はこれってなかなか大変。本当の実力がないと難しいことだ。
なぜなら1作目というのは、自ずとそのアーティストのエッセンスが詰め込まれたものになる。
一番いいところを納期もそれほど気にせず納得いくまで作り込んでから出せる。
でも2作目以降はそうはいかない。
発売時期を決めてからの制作になるだろうし、何より才能が枯渇してしまうと楽曲のクオリティも下がるし、1枚目の2番煎じになる可能性もある。

そういう意味で、藤井風のアルバムの出方は絶頂期だったかつてのユーミンのそれを彷彿とさせる。
出すアルバム出すアルバムどれも良く、立て続けに大ヒットしブームになっていたユーミンも間違いなく天才だが、風さんもその天才ぶりを遺憾なく発揮している。

どの曲も好き過ぎて何からどう書いて良いのやら……オーマイガー!だが、やはりこのアルバムで初めて世に出た曲を取り上げたいと思う。
長くなるので1曲ずついきましょう。

やば。

はじめはこれね。これ本当にやばい。

大人っぽいお洒落なR&B感の漂う気持ち良い曲だがそれだけではない!
歌詞に込められた風さんの葛藤は「何なんw」の世界を引き継いでいる。

「やば。」の歌詞について。

「何度も何度も墓まで行って」ってところ、お墓参りではなくてお墓に入って、ということだろうと思ってはいたのだ、2回くらい聴いて。
つまり何度も生まれ変わるということ。
そしてその後ゆっくり英訳を読んでたら、やっぱり!となった。
"You've been into the grave so many times” なのだ、”go to” じゃなく” into”。
だからやっぱり生まれ変わるということ。

何度も輪廻転生で生まれ変わっても、何度も同じことを繰り返してしまう、「傷つけないでよ、裏切らないでよ」と望んで(それが「安い夢を生きてた」というところとリンク)、「絵空事を追いかけ続ける」自分に、ハイヤーセルフが"you"と語りかけてる歌。
「さっさと行こうか、もっと遠くへ 高いとこまで その目を覚まして どこまでも」って言う歌。

リリパでも「情けない自分に呆れてる歌」と言ってたよね。
「天使のような自分と悪魔のような自分の痴話喧嘩のような……」とか。

曲とアレンジについて。

そういう葛藤の歌を、あんなエモコードとお洒落アレンジに包んで届けてくるのだ。

イントロや全体のドラムのパキパキした感じは「旅路」と似ていてチルい。
ヤッフルさんのアレンジセンスは都会的で、力が入っていなくて良い。

ボーカルについて。

さらにもう一点。
風さんのボーカルテクニックも一段とアップしたように感じたのは私だけではないはず。

声と吐息のミックス度合いを自在に操ってるように思う。
そして音を伸ばしてコロコロと転がすように上がったり下がったり……これがなんとも気持ちよくてたまらんのよ。

「やば。」は風さんの口癖の一つで「何なんw」に続き口癖をタイトルにした歌だと本人が語っていたが、まさかこんなオシャレな曲と深い歌詞の世界を纏うことになろうとは、「やば。」という言葉自身、この上ない幸せを味わっていることだろう(笑)。
ホントやば。

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