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Fujii Kaze "Free" Live 2021 at NISSAN stadium に思う

昨日は午後1時から約1時間のライブだったのに、それ以降ずっとおかしなテンションだった。
余韻が凄すぎて興奮してなかなか寝付けなかった。

頭の中で『燃えよ』がヘビロテして、スタジアムの緑とTシャツにジーンズのナチュラルな姿の風さんが目に焼きついて。

すぐに感想を書きたかったが言語化できなかった。

一夜明けて少し冷静になってきたので思ったことをツラツラ書こうと思う。

新しいライブのあり方

収容人数7万人のスタジアムの真ん中に、グランドピアノと風さんだけ。
観客はなし。

こんなコンサート今までになかった。
コロナという未曾有の脅威がこの不思議な状況を生み出したのは皮肉。
でも有観客で出来ていたとしても、今回チーム風は無料でお客さんを招待するつもりだった。

あの広いスタジアムを借り切るって、一体どれくらい費用がかかるのか見当もつかない。
なのに"Free"ですからね。
昨日のMCで風さん本人が「この世には疲れることとか、窮屈なこととかいっぱいあると思うけど、みんな休んでいいんやで」と言ってくれたとおりの優しい気持ち。みんなを労る、癒したいという気持ち。
それを形にしたのが今回のライブだと思う。
だいいちパソコンの向こうの観客に「疲れてませんか?」なんて聞いてくれるアーティスト、どこにいる?
自分のほうが緊張し、雨にも濡れて、労られていい立場なのに。

そして、17万人が視聴したYouTube同時配信だって無料ですよ。
有料の配信という選択肢もあったはずなのに。
でもこういう形でのライブ、みんなが幸せだった。
風さんたちは幸せの形を提案したのだと思う。

もちろん、風さんは他の手段で収入を得ることが可能だけど、もっとマイナーなアーティストはそんなわけにはいかないだろう。
それに、いくら風さんだって、毎回採算度外視というわけにはいかない。

だからこういうスタイルを取れるアーティストさんだけ、時々でいい、取ってくれたらいい。
そんな提案になったのではないか。

考えてみたら、今や音楽はCDを「買う」時代からサブスクで「ただで聴く」時代。

アーティストにとってそれはとても大変に違いないが、時代の流れは確実にそうなっている。
……であれば、ライブだって(オフライン、オンラインに関わらず)そういうこともアリな時代なのだ。

チーム風のコンセプトはどこまでも"Free"だった。
もちろんチーム風が"Free"という言葉に一番込めたかった想いは「心の解放」であったろう。
TVで風さんは「ゆるく自由に」が大きいと言ってはいたけれど。

「自由」で「窮屈さから解放され」、おまけに「無料」!
いつかアフターコロナの世界でも、もしかしたらこのような形のライブが増えるかもしれない。

なぜなら、本来音楽は自由であり、良い音楽は人を解放してくれるから。
そしてお金のない人もある人も、公平にその喜びを享受できなくてはいけないはず
だから。

ライブに込めたメッセージ

全12曲中カバー曲は"Heal the World"のみ。
これを選んだ理由は、風さんがJーWAVEのラジオ番組の中で答えているので、聞き流した方はこちらをどうぞ。

大好きなマイケルジャクソン、その中でもこの曲が今回のコンセプトにピッタリだったのね。タイトルも歌詞も。
インタビューの中でもメッセージ性という言葉を風さんは使ってるけど、これ以外の選曲にもMCにも、メッセージをものすごく感じた。

そう、これからの音楽家の皆さんは、曲作りにおいてもライブの演出においても、メッセージをきちんと伝えていくことを意識しないとダメだと思う。

世の中これだけ便利に手軽になって、スマホ一つあればいつでも好きな音楽が聴ける。それも膨大な数の音楽から選び放題。

ちょっと聴いて、これ好きじゃないと思ったらさっとスキップできる時代。
音楽が、構えて聴くものでなく、身近で生活の一部になってきているのは良い反面、アーティストさんたちはワンノブゼムで埋もれちゃうリスクもすごく高くなった。
(昔はお小遣いを貯めて、欲しいレコードをやっと手に入れて、傷がつかないように大事に大事に扱ってありがたく聴いていたっけ。)
時代は変わったのだ。

注目してもらい、生き残っていくには、ただ素敵な音楽を発表するだけでは弱い。
耳だけじゃなく、心の奥まで届くのはメッセージなのだ。
たとえその曲がシンプルなラブソングであったとしても、作成する過程、提供する過程で供給する側に明確なメッセージがないとリスナーの心にまで届きにくいのだ。
それは歌詞やメロディやコードに潜んでいたり、届ける方法に隠れていたり様々だと思うけれど、とにかく単純に「良い曲」を作ったからと言って終わりではないのではないか。

そして風さん、そしてチーム風からの今回のメッセージは【癒されてほしい】【ないものを嘆くのでなく、今ある幸せを感じてほしい】というようなことじゃなかったか。
それには深呼吸して自然を感じ心を解放して……ってことではなかったか。

そういう意味でも今回のライブは、今後の音楽界にとってターニングポイント的なものになったと思う。

Voices of the Future

折りしも、『GQ』という男性ファッション誌の10月号が「未来の音を創る世界のメガスター」という特集を組んだ。

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世界各国のミュージシャン21人の中で、日本代表に選ばれたのが我らが藤井風だ!

昨日のライブやこの雑誌などをきっかけに、これから風さんの「世界での認知度」はますます高くなっていくだろう。

楽曲の素晴らしさ、声の良さと歌唱力、ピアニストとしてのたしかな腕、ビジュアルの美しさ、それに加えて彼の持つ優しさ、神々しさ、気取らない愛らしいところ、スターに必要な全てを完璧なまでに兼ね備えた稀有な人である。

昨日のライブの後、凄い速さで上がったアーカイブにも、沢山の海外のファンの方からコメントが寄せられていた。

私生活で色々と辛いことがあるけれど、あなたの歌を聞くと元気になり癒され、自然と笑顔になっている……みたいなことも書かれていた。
日本語の歌詞がほとんどで、おそらく歌詞もわからないのにこれですよ。
それは、彼の真心から溢れ出してるメッセージが言葉を超えて届いてるってこと!

選曲

セトリはいちいち書かないけど、とにかく大満足だった。
『罪の香り』はアーカイブの概要欄には『夏の香り』とあった。
これはフルコーラスやらずにすぐに『きらり』になった。
こんなに早く出すか~と思ったけど、あれだけヒットした曲をもったいぶらずに最初にもってきちゃうあたり気前がいいし、新しくファンになった人たちを大事にしてると思った。
この曲の途中でモノクロからカラーになった演出もニクい。

そしてもちろん古参のファンも喜ぶ選曲の数々。

『帰ろう』と『旅路』は毎回泣く。エモすぎて100%泣く。
昨日は特にグッときた。雨の中の風さんの姿があまりに歌とマッチしていたせいもあるかもしれない。

イントロがクラシック調からジャジーになり、何が来るかと思わせておいてからの『死ぬのがいいわ』……これもやられた。
低音が渋すぎる。ピアノが好きすぎる。
それから『優しさ』のアカペラ部分、『もうええわ』の2番のラップ、ライブならではのサービスで嬉しかった。
『特にない』のピアノの伴奏でちょろっとアレンジしてオブリ入れてくるところも素敵だった。

『青春病』のカメラワークもすごかった。唯一、風さんの手元や顔のアップがなく、上空からのドローン撮影。
広々としたスタジアムにピアノ一台で挑んでいる風さんを改めて凄いと思った。

『何なんw』の変顔も健在で!
誰もいないのにいつも通りやってくれるなんて最高。笑ったわ~。

人生ホンマいろいろあるけど

『起こること全てに意味があるから、理由があるから、怖がらずにビビらずにいきましょうや。
俺ら兄弟やし、うちら姉妹やし、みんなこの宇宙っていう大学の生徒やから。』
これ、『旅路』の前の長めのMCだった。
泣くよね、風さんが言ってくれると特にね。
これこそ、彼が常に伝えたいと思っていることだろう。

みんな不安だから。
みんなこの状況に飽き飽きしたり苛ついたりしてるから。

前にこのnoteで『愛は動詞』の人という記事にも書いたけど、音楽を通して風さんはそういうことを伝えてくれ、愛を与えてくれてる。
それを本当に実感した。

このライブのあと、なんとも言えず心が浄化され、癒され、明るい気持ちになってた!
きっと見た人みんなそうだったよね。17万人みんな!

雨の中濡れた芝生に寝そべったのも、自らそうすることでみんなに示してくれたんだと思う。
リラックスしようよ、疲れたら休もうよ、大丈夫だよ。
深呼吸したのもそう。全部全部メッセージだった。

というわけで、また泣いてます。
きっと風さんはこれからとんでもないところに飛躍する。
それでいい。そうじゃなきゃいかん。

だけどきっと、ありのまま、ナチュラルなまま、狭い部屋でピアノを弾き語り、YouTubeに動画をあげてた頃の風さんが彼の中にずっといて、お茶目な人なつこい面もチラチラ見せてくれるのだと思う。

気づくとすごい長文!
最後まで読んでくださってありがとうございます。
あくまで個人的見解です、独断と偏見に満ちています。
意見の違う方もいらっしゃるかもしれませんがご容赦ください。





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