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サイモンとガーファンクル 第3作アルバム "Parsley, Sage, Rosemary and Thyme" 第1曲  S&G スカボロー・フェア/詠唱 Scarborough Fair/Canticle

「スカボロー・フェア/詠唱」 Scarborough Fair/Canticle

誰もが知るサイモン&ガーファンクル定番の歌です。
映画「卒業」で、主人公のダスティ・ホフマン演ずるベンジャミンが赤いスポーツカーを運転する時バックに流れた曲です。

前奏からすでにこの歌の美しさが満ち溢れています。神秘的和音のアコースティックギターによるアルペジオ。チェンバロのようなキーボードの効果も絶妙。

メインのメロディはイギリス民謡を借用したとか。研究好きのアート・ガーファンクルが図書館から見つけてきたといわれ、独特の雰囲気に引きこまれます。

アコースティックギターの前奏。確か7フレットにカポタスト(ギターの基準音を調整するツール)を付け、Am(半音7つ上昇し実音はEmとなる)を基本に弾きます。変則和音なので、通常の弾き方ではありませんが、弾けるようになると嬉しかったのを覚えています。ポールのギターフレーズは何度聞いても素晴らしい。

とりわけ、ガーファンクルの歌声がとてもマッチした歌。他の歌手にこの雰囲気は出せない、と私は信じています。

スカボロー市場へ行くのなら
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム(が並ぶ市場)
そこに住むある人に告げてください、私を覚えていてと
あの人は私の恋人でした

木綿のシャツを縫ってくれと伝えてください
(詠唱※以下括弧内同じ:深い森の緑の中にある丘の上)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(スズメが残した雪紋付き茶色の痕跡)
縫い目も針のあともないシャツを
(山の子どものための寝具)
そうすればあの人は真の恋人になる
(大きな呼び音にも気づかずに眠る)

1エーカーの土地を探してくれと伝えてください
(葉の散りばめが)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(銀色の涙で墓を洗いながら)
海水の間の波打ち際の土地を
(そして銃を磨く)
そうすればあの人は真の恋人になる

皮の鎌で収穫しろと伝えてください
(緋色の大隊で燃えている)
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
(将軍は兵士に殺せと命じる)
そしてヒースの束に集めてくれと
(彼らがずっと前に忘れられ理由)
そうすればあの人は真の恋人になる

(Copyright :Paul Simon 1966/原詩省略。musiker21の意訳・創作)

私が好きなのは、第2部分から併唱(こんな日本語ないかな?)のポールの「詠唱」(The Side of a Hill)。これ、「ポールサイモン・ソングブック」(サイモンがイギリス滞在時に、録音した彼の作品集アルバム。ファンにはたまらない逸品。)の中の一作品が原曲らしいのですが、この作品向けに少し変更されるものの味があってとてもいいです。

兵士に「殺せ!」と命令する指揮官、とショッキングな歌詞が込められているので、平常心で聞くのは難しいけど、メイン曲と見事にフィットしています。

パセリ、セージ、ローズマリー、タイム。いずれも香辛料の名前ですが、なんで香辛料の名前なのか、何か深い意味がそこに隠されているのではないか、とずっと考えていましたが、市場の雰囲気の表現(私は、香辛料が立ち並ぶ様子から、市場を連想します)に使ったかもしれません。

スカボロー市場へ行ったら昔恋人だったあの女(人)に、伝えてくれ、という内容が4コーラス分続きます。あれをしてくれこれをしてくれ、と昔の恋人に指図する。

戦場に死にに行く兵士が、かつての恋人のその後の生活が気がかりで、いろんなことを言い残す、伝える、歌なのかもしれません。

ならば、裏の「詠唱」と対比の理由も納得できます。

ボキャブラリーが乏しいと自分でも思うけれど、「美しい」、ただそれしか表現しようがない歌。

聴いたことのない方はぜひ!
聴いたことのあるかたももう一度ぜひ!

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