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第2週「初めてのエール」#かなりや


NHK連続テレビ小説「エール」第1週4話に登場した曲です。
【裕一と音が教会で出会う】

童謡の第1号「かなりや」

4話の冒頭、小学五年生になった裕一のクラスでは、新しく担任となった森山直太朗さん演じる藤堂先生のオルガン伴奏で、クラスのみんなで斉唱しているのが「かなりや」です。

ドラマのナレーションでも「かなりや」についての説明がありましたが、
せっかくなのでもう少しここでは深掘りしたいと思います。

童謡の第1号「かなりや」

「かなりや」が生まれたのは1918年(大正7年)のことです。この年、児童雑誌『赤い鳥』を創刊した鈴木三重吉は、当時の子供の読み物や唱歌が”俗悪”・”貧弱低劣”であると考え、

「もっと芸術味豊かな、即ち子供の美しい空想や純な情緒を傷つけないで、それを優しく育むような歌と曲をかれらに与えてやりたい。私の雑誌ではこうした歌に、《童話》に対する《童謡(どうよう)》という名をつけて載せて行くつもりだ」と八十に直接詩作を依頼したといいます。

そして同年『赤い鳥』の11月号に原詩の「かなりあ」が掲載され、翌年5月成田為三が曲をつけた「かなりや」が同雑誌で発表されることとなり、曲のついた《童謡(どうよう)》第1号の作品となり(それまでは童謡という言葉は一般にはなかったのです)のちに、一般家庭にレコードプレーヤーが普及したことで、ヒット曲となっていきました。

父の急死や兄の放蕩などによって財産を失った家族を支えるために株や商売などを始め、詩の創作を中断していた八十にとって、この依頼は詩の創作へと戻るきっかけとなりました。
「唄を忘れたかなりや」が不遇な時代を過ごしたのち、詩作への情熱をとりもどした八十の姿に重なるのはよく知られた話です。

また、成田為三は、この歌詞の世界をとても丁寧に解釈して曲をつけました。

前半は、かなりやが「唄を忘れた」せいでたしなめられる部分は「山に棄てる」とか「小藪に埋める」とか、歌詞が強いので、おだやかにゆるやかに、静かに。
後半は唄を思い出す美しい場面なのでにぎやかに舞踏曲を思い出すように、三拍子で。
「月夜の海に浮かべれば」の「ばアーー」を高い音で長く伸ばすようにしたのは、お月様に聞こえるように、大きいきれいな声で歌ってほしいから。

ふたりの想いを大切にしながら口ずさんでみたい「かなりや」です。

ミュージックソムリエ:奏子/kanako(Singer/Voice Trainer)


NHK連続テレビ小説「エール」                  (NHK総合月〜金 朝8:00〜8:15、12:45〜13:00、土曜日は1週間を振り返ります。その他NHK BSプレミアム、NHK BS4Kでもオンエア中です。    
*放送予定 3月30日〜9月26日
またNHKオンデマンドでも見逃し放送をご覧になることができます。


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