推しの作品を語る「HEART」/TOKIO 前編

 今回のテーマはTOKIOのベストアルバム「HEART」。2回に分けて完全無料公開です!


アルバム概要

 TOKIOのデビュー20周年を記念して、ファン投票でベストアルバムが制作されました。投票はシングル部門とアルバム/カップリング部門に分かれて、どちらも上位15曲が得票順で収録されました。
 アルバムは2枚組で、ディスク1にはボーカルの長瀬智也くんが、ディスク2にはギターの城島茂くんが制作した新曲が収録されています。今回はシングルを収録したディスク1を解説していきます。

M1 リリック

 ボーカルの長瀬くんが作詞作曲したシングルが首位を獲得。アルバム初収録となり、音楽番組でも多数披露されました。
 長瀬くんのボーカルを立てて他のメンバーはコーラスと演奏に徹しています。セルフプロデュース体制に移行してからは、シングルで長瀬くん以外がボーカルを取ることはほぼありませんでした。この曲でTOKIOを知った人にはぜひこのアルバムを聴いてほしいです。

M2 LOVE YOU ONLY

 デビュー曲がここで登場。ベストアルバムでファン投票を行うと、デビュー曲はランクインはするが首位は取らないというのは一種のジンクスかもしれません。
 この曲ではベースの山口達也くんのみソロパートが登場。実質彼がメインボーカルです。では本来ボーカルの長瀬くんはというと、リーダーの城島くんとユニゾンで歌うパートがあります。おそらく若くしてデビューした影響で、まだ声が安定していなかったからでしょう。後年のライブパフォーマンスでは長瀬くんのソロパートに変更されているので、音源は音源で貴重という見方もあると思います。
 そしてこの曲のMVが、初回限定盤2の特典DVDで初映像化されています。こちらも要チェックです!

M3 君を想うとき

 3位にこの曲が入るとは意外でした。前の2曲に比べると世間一般での認知度が低く、SNSで「TOKIOにこんな曲あったの?」と話題になっていた記憶があります。
 長瀬くんのボーカルスタイルが今と若干違うのが聴きどころ。ビジュアル系バンドのボーカルのような印象を受けました。演奏シーンが一切なく、メンバーは立って歌うだけというシンプルなMVも印象的です。

M4 花唄

 鉄腕DASHやテレビで聴いたことはあったものの、フルで聴けたのはこのアルバムが初めてでした。
 この曲も長瀬くんがメインボーカル。長瀬くんに限らずTOKIOのメンバーは「男らしくてカッコいい」というイメージがあります。この曲の冒頭の歌詞「痩せた時代の鏡にうつる カサつく唇のそいつが僕なら」というのが彼らのイメージというか、雰囲気にピッタリだなと思いました。こういうタイプの曲を歌わせたらTOKIOの右に出る者はいないでしょう。

M5 GREEN

 この曲も恥ずかしながらこのアルバムで初めて聴いた曲。しっとり聴かせるバラードで、ラストのファルセットは圧巻です。
 ベースやドラムといったリズム隊の存在感もあって「バンド感」を強く感じる曲です。

M6 AMBITIOUS JAPAN!

 こんな有名曲が6位とは! と思いました。メンバー自身も驚いていたようです。
 この曲では、メンバー全員にボーカル面で目立ちどころがあります。特にドラムの松岡昌宏くんは、ライブでもほとんどマイクを持ちません。この曲でも、音源ではソロパートがありますがライブやテレビパフォーマンスでは歌っていません。
 楽曲自体は有名ですが、松岡くんのソロパートはあまり知られていないなぁというのが私の肌感です。ぜひ音源で聴いて、松岡くんのソロパートを探してみてください。

M7 Julia

 この作品で私が一番好きな曲。ロックバンドらしい激しいサウンドや長瀬くんのちょっと荒々しいボーカルがとても好みです。
 そしてもうひとつ大好きなポイントが、国分太一くんのソロパート。曲の終盤に強烈なインパクトを残します。太一くんの声は長瀬くんよりもハスキーで男らしい印象です。

M8 glider

 こちらはM7とは違う意味でロックバンドらしい曲。淡々と伝えたいメッセージを歌っていって、最後は渾身の演奏を聴かせるというスタイルです。このスタイル、TOKIOは結構やってくれます。私にバンドというもののあり方を教えてくれた曲です。
 私は生粋のジャニーズファンで、学生時代はほぼジャニーズしか触れてきませんでした。そのためイントロやアウトロが長いのを「TOKIOというグループの特徴」だと認識していたんですが、どうやら「演奏を聞かせたいバンドに多く見られる特徴」だということが分かりました。そしてそれが分かってからはボーカルだけでなく、演奏もメンバー自身が鳴らしている音なんだという意識を持って聴くことができるようになりました。

M9 Mr.Traveling Man

 私はこの曲の頃にTOKIOというグループを知りました。この曲が収録されたオリジナルアルバムは、嵐以外で初めて聴いたCDでした。そういう思い入れもあるので、ファン投票でトップ10以内に入ったというのはとても嬉しいです。
 楽曲についての話も少し。この曲はやはり長瀬くんがメインボーカルですが、彼の一番いい音域からすると少し低いようにも感じられます。ここから先は私の完全なる妄想ですが、もしかしたらライブでは松岡くんがボーカルになった時もあったのかも、それを見越してキーを低めに設定したのかも? なんて考えています。TOKIOにはもっと、ライブを映像作品化してほしかったです。

M10 自分のために

 三三七拍子のリズムを随所に使用したストレートな応援歌。TOKIOはジャニーズの中でも「陽」のオーラを放っているグループですから、こういう曲はピッタリです。
 三三七拍子という誰でも知っているリズムがループするので、普段はギターやボーカルに注目しがちなみなさんにもベースやドラムのカッコよさが伝わるんじゃないかと思います。バンドというのは、誰一人として欠けたらそのバンドの音楽が成立しなくなる集団です。みなさんもいろいろな音に注目して曲を聴いてみてください!

M11 宙船

 おそらくTOKIOで最も有名なのがこの曲。中島みゆきさんによる楽曲提供で、現在でも後輩たちがカバーすることもあります。
 ただそれだけに、この曲が11位という結果を見た時にとても納得がいきました。
 ベストアルバムのファン投票の時、ファンの方たちは相反する2つの心理を持っている、とフォロワーさんから教えてもらったことがあります。ひとつは「この作品を通して新規ファンも増えてほしいから、有名曲も入れたい」という思い。もうひとつは「せっかくファン投票でアルバムを作るなら、あまりスポットライトは当たらないけれど純粋に好きな曲に投票したい」という思いです。今回の投票では、後者の気持ちを持つ方が優勢だったのではないでしょうか?

M12 スベキコト

 作詞が城島くん、作曲が太一くんというコンビで制作された曲。恥ずかしながらこのアルバムで聴くまで私はこの曲の存在すら知りませんでした。ですがそういう曲が入ってくるのもファン投票の醍醐味だと思います。
 歌詞の中にコードの名称が出てくるなど、ポップというよりは「刺さる人には刺さる」というタイプの曲だと思います。TOKIOのシングル曲にしては珍しく英語が多用され、そういう意味でも異色の曲です。

M13 雨傘

 椎名林檎さんからの提供曲。TOKIOの前楽曲の中でもダントツでキーが高く、長瀬くんもボーカルレコーディングに苦労したという話が残っているほどです。
 ボーカルの技術もさることながら、ドラムとキーボードにはラスト付近に印象的なフレーズが用意されています。林檎さんも東京事変というバンドでボーカルをされているので、「バンドの音楽」がどういうものかということを意識してくれたのかもしれません。

M14 見上げた流星

 実はここ3曲、発売時期が非常に近いんです。レコード会社を移籍した時期でもあります。これは私なりの表現ですが、会社移籍をきっかけにしてロックバンドからポップバンドへと方向転換をしたのかなと思います。そして投票上位に食い込んでいるということは、その戦略は功を奏した。この曲には、山口くんと城島くんがボーカルを取るというサプライズもありますし、それも支持を集めた原因かと考えています。

M15 DR

 リリース時期は「Julia」に近いです。ストレートなロックナンバーを届けようとしていた時期ですね。
 私は激しいサウンドが好きなので、もう少しこの時期の曲をたくさん聴きたいなぁという思いがあります。もしもう一度ファン投票を行うなら、各レコード会社の所属年代ごとに上位を決めてほしいとも思います。

M16 ハート

 長瀬くんが制作した曲。20周年を迎えての感謝を歌っています。
 歌詞の中に「僕らはひとつ」という言葉が何度も出てきますが、これはTOKIOのメンバーのことでもあり、TOKIOとファンの関係性のことでもあると思います。後半には長瀬くんと他4人の掛け合いパートもあって、そこはライブだと会場全体の大合唱になる部分です。TOKIO、スタッフ、ファン。会場にいるすべての人たちが気持ちをひとつにできるアンセム的な曲です。

次回予告

 次回はディスク2、アルバム、カップリング曲ベストについて書きます。アップ時期は来月頭くらい。乞うご期待!

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