名曲389 「宙船」【TOKIO】

ーー不退転の決意を思わせるマイボスマイヒーローーー

【Tokio - Sora Fune (My Boss My Hero OST)】

 歌詞の強さ、言葉の強さを思い知りたい。変な日本語になってしまうが適切である。ふわふわとしたいまの綺麗ごとの歌詞は生ぬるい。うん、そんなぬるい時代こそ必要なのではないか。

 今回は中島みゆきが作詞作曲で話題になった「宙船」を紹介。これがまた名曲なのである。歌うはTOKIO。もういまでは絶対に聴けない曲である。ああ、長瀬よ戻ってきて。

 当時は2006年。もう15年前になる。『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』というドラマが流行していた。私の学校でもだいたいの人が見ており、私も毎週楽しみに見ていたものであった。新垣結衣が出てきたのもこのくらいだったか、手越祐也も台頭してきたころで、まさしく老若男女に大人気だったと記憶している。

 私の見方は少し違っていたかもしれない。ドラマももちろん面白かったのだが、主眼はラスト数分、つまりエンディング曲が流れてからだった。エンディングのイントロのギターがたまらなくかっこよかった。大体物語の最後のほうは長瀬の顔が険しくなり(いつもか)その引き締まった顔とイントロが抜群に相性よく感じられたのである。

{その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ おまえが消えて喜ぶものに おまえのオールをまかせるな}

 強い歌詞だった。ぐわっと何かに襲われるかのような、幼かった当時には刺激の強い命令形。思春期真っ盛りの私に自立を求める歌詞はすこぶる刺さった。

{何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ 何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ 何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ 何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ}

 ラス前のまくしたてるこの部分が特に興奮ポイント。自問自答、葛藤しているさまが目に浮かぶ。そして大サビへと移行するわけだ。盛り上がらないわけがない。

 中島みゆきの世界観を長瀬がうまく調和させた名曲といってよいだろう。長瀬とロックは本当によく似合う。そして歌詞もロックならなおいい。

 ところで『マイ☆ボス マイ☆ヒーロー』は本当に面白かった。ヤクザをバックにした頭の悪い主人公。よくキャラが立っていた。土曜日の夜は学校も休みだったし、いい時代だったと思う。あっ、いまの子は土曜日も学校なのか。大変じゃのう。私が贈れるのは「その船を漕いでゆけ」とアドバイスするくらいである。

       【今日の名歌詞】

その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ おまえが消えて喜ぶものに おまえのオールをまかせるな

 



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