名曲348 「聖母たちのララバイ」【岩崎宏美】

ーーこれが本物ーー

【岩崎宏美 - 聖母たちのララバイ - 1982】

 1980年代で外してはいけない人のうちのひとり、岩崎宏美から。まだあの人もあの人も取り上げていないだろと言われそうだが、もうちょい待ってほしい。以前の良美のときにちらっと書いたがようやく。

 かつての歌謡界は歌唱力の高い女性、いや「本物」しか生き残れない時代だったと思う。90年代やいまは多少歌が下手でもプロデュースの力だったり容姿や売れそうなキャッチーさがあれば台頭できるが、1970年から80年代は激戦区だったのではないだろうか。国分友里恵のときにも書いたが、半端な歌唱力では埋もれてしまう。いや、国分友里恵も現代の目で見ればうまいのだが。例えるなら大谷翔平と秋山翔吾みたいな……何でもない。

 いくつも代表曲がある中で、私が特に好きなのがこれ、「聖母たちのララバイ」だ。もうね、別格。高校生のときに凄さを知ってから長らく私の中で殿堂入りしていた。殿堂入りの曲は取り上げるのに重い腰を上げないといけない。天守閣の殿に直談判をするようなものなのだ。

{さあ 眠りなさい}

 この時点で鳥肌もの。出だしでノックアウト。イントロでノックアウトの曲はあれど、最初のワンフレーズでやられる曲は本当に数少ない。それもこれも岩崎宏美のとんでもない歌唱力の高さのおかげだ。魂が揺さぶられる。

{この都会は 戦場だから 男はみんな 傷を負った戦士 どうぞ 心の痛みをぬぐって 小さな子供の昔に帰って 熱い胸に甘えて}

 これは社会人になってみて優しさが痛いほどわかる。当時のほとんどの男性が岩崎宏美をマドンナと見ていたのではないだろうか。

{そう私にだけ 見せてくれた あなたのその涙 あの日から決めたの その夢を支えて 生きてゆこうと}

 この部分も好き。……いいなあ。なんかこれから羽ばたこうとしている芸人の嫁さん(だいたい美人)みたいな感じ。尽くしている感じ。

 とんでもなく疲れたときにオススメしたい曲だ。私は意外と1回聞いただけでリピートはしない。鳥肌が止まらなくなるからである。サビの破壊力は歴代屈指。

 どうでも良すぎる情報だが、上記の動画の岩崎宏美がメンヘラだった元カノっぽくてなかなかのアレ。もしかしたら彼女がマドンナになっていた未来もあったかもしれない。ふん、もっといいマドンナを見つけてやるもん。

       【今日の名歌詞】

この都会は 戦場だから 男はみんな 傷を負った戦士 どうぞ 心の痛みをぬぐって 小さな子供の昔に帰って 熱い胸に甘えて


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