名曲449 「まっ白」【小田和正】

ーー雪原と白い息が眼前に浮かぶ、まっ白ーー

 今回は動画が見つからなかったのでカット。小田和正関連は基本的に厳しい。この曲はベストアルバムに収録されており、入手しやすいのでぜひ聴いてほしい。

{哀しいほどの想いがつのれば もうその愛は戻れない
せめてただ 切ない気持ち 伝えるまで}

 いきなりサビから始まる。小田和正の透き通る高音とメロディーが絶妙なハーモニー。「せめて」の前のWooが秀逸である。あまりに冬を感じて身震いのようにも聞こえる。

{置き去りにされるだけの恋なら もういらない でも出会いは またその答えを 遠くに置いてしまうんだ}

{さっきから ずっと同じページ ぼんやりながめてる ふたり出会ってしまったのは きっと いいことなんだ}

{遠回りしてゆく 公園は人影もない 心は いつからか 君でいっぱいになってる}

 小田和正らしい恋愛の歌詞である。感情を表す言葉はなくとも情景だけで心情を察することができる。

{雪のように冷たい雨に 打たれ続けた 張り裂けそうな胸を 人知れず抱えていた}

{過ちも 許されない嘘さえも 時は消してくれたけど 今にしてまだ ほんとうの愛は 分からないみたいだ}

{歩道橋で 黙って 人ごみを見ている ざわめきを包むように 雪が降り始めた}

 ここが好き。人混みと書くのが一般的だがわざわざ開いた理由はいかに。考え過ぎのようでもあるが、ちょっと見方を変えるスパイスでもある。

{こぼれかけた言葉のみこんで いつしか暮れゆく冬の街 もうすこしだけこのまま ふたりに 答えはいらない}

 ここから大サビに入る。この間奏はスキーの大ジャンプ前に脳内で流したい。

{悲しいほどの想いがつのれば もうその愛は戻れない せめてただ 切ない気持ち 伝えるまで それでもまた始まろうとしてる その時を待っていたように 愛は とまどうふたりの なにもかも まっ白にして}

 してーっの歌い方。もうどうにもならないむき出しの感情を表現しているかのようだ。そして最後で「まっ白」の意図がわかった。この雪のように何もかもを戻してほしいと願っていたのだ。

 小田和正の作品の中でも屈指の透明感がある冬曲なのだが、意外と世間の評価は低い。個人的にはミリオンヒットでもおかしくないと思っている。売上の低さに頭がまっ白になりそうだが、再評価はあるだろうか。

       【今日の名歌詞】

歩道橋で 黙って 人ごみを見ている ざわめきを包むように 雪が降り始めた


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