名曲223 「イムジン河」【ザ・フォーク・クルセダーズ】

ーー国がどうとか関係ない。ただの名曲だーー

【イムジン河 - ザ・フォーク・クルセダーズ】

 ザ・フォーク・クルセダーズは意外とこれまで取り上げていなかった。60~70年代を代表するレジェンドグループである。私は中高生のあたりで「悲しくてやりきれない」を知って好きになった。フォークは暗い曲も多いが、このザ・フォーク・クルセダーズはどこか前向きな曲が多く感じる。

 今回は名曲の呼び声が高い作品を紹介。しかしいわくつきの曲でもある。かつては発売禁止、放送自粛曲として扱われた。というのもこの曲はざっくりいうと国際問題を取り上げているのである。

{イムジン河 水清く とうとうと流る 水鳥自由に むらがり飛びかうよ 我が祖国 南の地 おもいははるか イムジン河 水清く とうとうと流る}

 我が祖国からでわかると思う。どこの国かはまだ秘密。でも2番でくっきりする。

{北の大地から 南の空へ 飛びゆく鳥よ 自由の使者よ だれが祖国を 二つにわけてしまったの 誰が祖国をわけてしまったの}

 鳥を比喩にして、祖国を思う姿勢がはっきりわかるではないか。まあ、どちらかを優劣つけていない分、南北分裂問題を訴えかけているいい内容にまとまっている。ちなみにこの歌詞のバージョンはまだマイルドで、原曲の民謡はもっとえぐい。荒れ果てた南の地、花の咲く北の地という感じで、北が優位とみなしているのである。

 そんな内容をマイルドにしたからか、北側から、この曲は南寄りではないかと突っかかれてしまったようだ。

 もうお分かりだと思うが、この曲は北朝鮮の曲である。この国名を出しただけで抵抗のある方も多いかもしれない。

 しかし曲そのものに罪はない。非常にそれこそきれいなのであろうイムジン河のようなメロディー。いつまでも聴いていられる。3人のサビのハーモニーも秀逸だ。

{イムジン河 空遠く 虹よかかっておくれ 河よ おもいを伝えておくれ ふるさとをいつまでも 忘れはしない イムジン河 水清く とうとうと流る}

 現在は普通に聴けるが、当時はいわくつきということもあって埋もれてしまいかねなかったようだ。ちなみにこの名曲は多くの歌手がカバーしているので、気に入った方は調べてみることをオススメする。昭和を、いや音楽史を代表する曲なので多く知れ渡ってほしい。

          【今日の名歌詞】

北の大地から 南の空へ 飛びゆく鳥よ 自由の使者よ だれが祖国を 二つにわけてしまったの 誰が祖国をわけてしまったの

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