名曲360 「奇跡の地球」【桑田佳祐&桜井和寿】

ーー最強と最強が掛け合わせれば、そりゃこんな名曲が出来上がるものだ。だがーー

【[ Kiseki no Hoshi ] 1995 Keisuke Kuwata & Mr.Children】

 奇跡の地球は90年代を代表するミリオンヒット曲である。知らない人は少ないはず。でもいまの10代は怪しいのかもしれない。サザンとミスチルは知っていても、そのボーカル同士が組んだ曲があるということは知らないという人がいても何ら不思議ではない。

 元々はエイズの啓発運動としてのチャリティー活動によって発売された曲であった。当時は1995年。まだバリバリエイズに対して知識が曖昧で誤解もあったのではないだろうか。どことなくトランプの12を思い浮かべる。

 すでに大人気バンドであったサザンオールスターズと伸び盛り真っ只中であったMr.Childrenのコラボと聞けば、それはそれは日本が、いやアジアが盛り上がったのではないかと思う。現代でいうと誰と誰になるか考えてみたが、思い浮かばないほど奇跡の地球……じゃない奇跡のコラボである。んっ、決していまのアーティストに疎いからじゃないぞ。

{熱い鼓動で涙が止まらない 悲しい友の声は何を憂う ありのままの姿を見つめたい 夢や希望にすがる時代は過ぎた}

 作詞作曲は桑田佳祐が担当している。ポップなものと思いきや、どちらかというとブルース調で歌詞も全体的に訴えかけている内容となっている。

 私は高校生のころに初めて聞いたのだが、どうも当時はそこまで名曲とは思わなかった。ポップな曲調を期待していたからかもしれない。人によってはこの曲もポップと捉えるかもしれないが、私はそう思わなかった。そして禁断の言葉、「どうせ話題で売れたんでしょ」と思ったわけである。

 当時の見解を知りたいものである。実際それもあったのかもしれないが、それは決して表立って取り上げられないし、そういう評論をしようものならサザンミスチルのファン連合軍に袋叩きになる。

 私は両者の大ファンだからこそ書くのだが、この二人が組んだのなら、正直もっと名曲になってほしかった。史上最強のコラボであるにもかかわらず、ただの名曲なのだ。そして本来なら売上がトリプルミリオン級でもおかしくないのに、ただのミリオンヒットに収まっている。

 皆さん、今回はそういうことです。もったいなかったという言葉を使わせていただく。もしかしたらこの曲は版権の関係などで気軽に取り上げられないかもしれないので、徐々に知名度が落ちてしまうかもしれない。J-POPの義務教育を知らない音楽ゆとり世代に伝えたい。

 


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