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名曲110 「いつでも誰かが」【上々颱風】[平成狸合戦ぽんぽこ]

ーー名曲だって生きてるんだよぉーー

【いつでも誰かが】

ジブリはこれまで数多くの作品が生まれている。各々の中で妙に印象に残るものは名作になるといえる。それはたとえ世間一般で不人気でも自らの思いがまされば揺るぎなくなるのだ。

今回は「平成狸合戦ぽんぽこ」からエンディングテーマを取り上げる。久しぶりのジブリだが、元々の数が少ないため、慎重に出しているだけであって、まだまだまだ名曲は多い。

{いつでも誰かが きっとそばにいる 思い出しておくれ すてきなその名を}

印象的な出だし。このフレーズは妙に何度も耳にするのだが、それはこの主題歌となる作品との兼ね合いもあるだろう。平成狸合戦ぽんぽこは楽しそうな名前だが、実態はちょっと人間にとって身をつまされるかのような思いになる。……ネタバレになりそうなので自重する。

{生まれた街を 遠く離れても 忘れないでおくれ あの町の風を いつでも誰かが きっとそばにいる そうさきっとおまえが いつもそばにいる}

我々の世界でも例えることは可能だ。例えば田舎に出て上京してきた方には刺さるのではないだろうか。

{争いに傷ついて 光が見えないなら 耳をすましてくれ 歌が聞こえるよ 涙も痛みも いつか消えてゆく そうさきっとおまえの 微笑みがほしい}

このフレーズはどこか寂しい。もう光が見えなくなるなんて現実逃避のようではないか。せめて最後はお前の微笑んでいる姿が見たいとはどう見ても死の間際という感じでもある。

{風の吹く夜 誰かに会いたい 夢に見たのさ おまえに会いたい}

この歌はここからがすごい。

{いつでもおまえが きっとそばにいる 思い出しておくれ すてきなその名を}

延々とサビのフレーズが続くラスト。それが狸たちがまるで踊っているかのような盛り上がりを見せ、いつの間にか涙も痛みも消えていくかのようではないか。それまでの寂しさがもう消えてしまっている。前述の現実逃避をうまく表しているといえるか。

最後はくどさすらも覚えるが、作中の狸の奮闘ぶりを思い返せば、頑張れ頑張れとチャンカチャンカ応援したくなるのである。いっつでもお前が~……きぃっと、そばにいる~……すーっと胸が晴れていく終わり方が最高。死ぬ時はこうありたい。狸たちに化かされて、ゆっくりといきたいものである。

【今日の名歌詞】

争いに傷ついて 光が見えないなら 耳をすましてくれ 歌が聞こえるよ 涙も痛みも いつか消えてゆく そうさきっとおまえの 微笑みがほしい

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