名曲657 「夏の別れ」【小田和正】

ーーもう何も言わないでーー

 今回は動画が見つからなかったので割愛。Spotifyで普通に聴くことができるので興味のある方はぜひ。いや、この記事を見てしまった人は義務。そういえばそんなチェーンメールがあったような。

 小田和正の失恋ソングはざっと両手では収まらないほどある。というより、半分以上が恋物語で、その半分が失恋というイメージだ。だから表現が使い古されている感じでもある(だから個人的に小田和正の歌詞はごく一部しか好きじゃない)のだが、メロディーは相変わらず秀逸なものだらけ。

 小田和正好きにとって「夏の別れ」はオフコース時代のイメージがあるかもしれない。私はあえて小田和正のソロバージョンを推したい。『LOOKING BACK2』に収録されていたそれを初めて聞いたとき、これだよこれ、という感動を覚えたのであった。

{話しかけてもいいよね もう会えないから こうしてここからあとは 二人離れてゆくだけ}

{いいすぎたことごめんね 気にしてないといいけど 風は少し冷たく 去りゆく夏を告げている}

 オフコースと小田和正、それぞれのバージョンを聴き比べる

{もう何も言わないで 肩に手を触れないで 諦めたその愛を また追いかけてしまうから}

 小田和正はしっとりとしたバラードがうまい。

{あの時君がいなくても どこかで出会ってたら 二人はきっとすぐにも 恋に落ちていたはず}

{「…元気でいてね」}

 ここ地味に熱いポイント。オフコース版では「君の声がかすれて」という歌詞があるのだ。ソロだと「Woo…」とだけ。恐らく改善ということなのだろう。個人的にはそちらのほうがいい。起伏ができているからだ。そう、ここが決め手になったといってもいいだろう。オフコース版は単調なのだ。

{ふたつの人生が重なり合って でもここからは別々の夏 思い出は思い出として}

 そして最大の盛り上がるポイントに。

{もう何も言わないで 肩に手を触れないで 諦めたその愛を また追いかけてしまうから}

{言葉もやさしさも足りないまま背を向ける 傷あと残さずに 別れられるわけもない}

 フェードアウトも切ない。

 オフコースでは末期に作られた曲で、大ヒットはしなかった。売上を思うともう少し評価されてほしいと感じている。夏の別れ。そう、そろそろ夏が終わるのです。次の長期休暇はずっと先なのです。……もう何も言わないで。

       【今日の名歌詞】

ふたつの人生が重なり合って でもここからは別々の夏 思い出は思い出として


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