名曲252 「チェリーブラッサム」【松田聖子】

ーー昭和を代表するスーパーアイドル。もう二度と表れない最高の個性ーー

【松田聖子 チェリーブラッサム】

説明不要の存在なので諸々は割愛。松田聖子は正直迷った。どの曲を取り上げるべきだろうかと。そしていろいろな思いを吐露していこうと思う。

 当初、松田聖子はあまり好きではなかった。いかにも昭和感が強くて当時若者だった私にとって古臭さが勝ってしまっていたのだ。いかにもザ・昭和のアイドルで芋っぽくもある。だからこの人を支持している人は化石かなんかと思っていたのである。それでいて中森明菜ほどの惹きつける力強さもない(当時の感想です)わけで、えー本当にお父さんお母さん世代ってこんな人に熱中していたのーとダサく思ったのであった。

 ところがである。その思いが変わったのは視野が広がってきていた大学生時代。2010年代からAKBをはじめとするアイドル軍団が席巻していて、どうもそのアイドルに私はまったく魅力を感じず、それでいて歌もうまいわけでなく、ただ声をかき集めているだけのものに感じていた。本当のアイドルとはだね、そうじゃないんじゃないかと。そこでふっと立ち返ってみたのだ。そういえば昭和のアイドルって、ソロでみんな歌っていたよなと。

 松田聖子を見る目が変わった。ああ、この人歌うまいじゃん。すごくきれいな声。見た目も、あれっいまのセンターの人よりかわいいのでは。心の中にあったトゲが消えたかのように素直に評価ができたのだった。

 そして有名どころの曲を聴くに至る。この記事を書いている時点で私はまだにわかの域を抜け出せていない。スタートが遅れたことを後悔している。

 現時点で非常に完成度が高い曲と感じるのはこの「チェリーブラッサム」である。これはテレビなどでよく耳にすることもあり、早い段階で存在は知っていたのだが前述の理由により「それは置いといて」という扱いであった。再び向き合う。いや、いま聴いてもこれはよくできている。

{何もかもめざめてく 新しい私 走り出した船の後 白い波踊ってる あなたとの約束が叶うのは明日 胸に抱いた愛の花 受けとめてくれるでしょう}

この曲はメロディーが非常にいい。そして松田聖子の持ち味をうまく引き出している。きれいな声を全面に引き出してあげるノビを何か所も作り、「何もかも」の歌いだしも静か。尻上がり形式とわかり冒頭がますますキュンとなる。

 当時4枚目のシングルで、歌手としてもどんどん評価が上がっていたころ。松田聖子自身が歌がうまくなったというより、曲そのものが歌いやすくなって、持ち味が出たのではないだろうか。そういう意味でも大きな曲ではないかと思う。そして作曲者はあの財津和夫なわけで、陰の立役者的な感じもまたグッとくるのだ。

          【今日の名歌詞】

つばめが飛ぶ青い空は 未来の夢 キャンバスね 自由な線 自由な色 描いてゆく二人で




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