名曲337 「マッハバロン」【すぎうらよしひろ】[スーパーロボットマッハバロン]

ーーこんなにロックな主題歌はない、不朽の名曲ーー

【スーパーロボット マッハバロン OPフル 2008GRAM MIX】

 久しぶりにスーパーロボットシリーズから紹介。これはとっておきの知る人ぞ知る名曲である。そんじょそこらの特撮ソングではない。

{悪の天才が時に野心を抱き 世界征服をゆめみた時に 君はどうする 君はどうする 君は じゅうりんされて黙っているか}

 いきなり強烈な歌詞だ。こんな視点で書かれたものは過去にあっただろうか。作詞は阿久悠。いやはやさすがである。

{悪のサイボーグ 悪のロボットの群れ それを操って挑んで来たら 君はどうする 君はどうする 君は 悪魔の前に ひざまずくのか}

{今だ出撃 マッハバロン}

 こんなに意志の強い歌詞はそうそうない。なんとなくふわっと危機が迫ってさあ出撃だというのが多い中で、語彙力の高さと描写能力の高さで他を圧倒している。

「蹂躙(じゅうりん)」なんて言葉が子ども向け特撮ロボットの主題歌のサビに出てくるかね。当時は画期的だったのではないかと思うが、作品そのものは不人気だったようで、短命に終わっている。詳しくは後述。どちらかというとこの主題歌のほうが有名なくらいだ。

 歌詞の凄さと同時に、ロックなメロディーも素晴らしい。特に前奏は屈指の出来。ギュインギュインとうねっていく音楽に合わせてオープニング映像のタイトル画面も動きを合わせる。強烈なロックすぎるので斬新の枠を超えてしまっているのだ。特撮ソングとしてではなく、ロック史に残るレベルである。

 そしてこの癖しかない歌い手。私は甲本ヒロトや忌野清志郎を想像させたが、この曲はすぎうらよしひろさんが歌っており、別人のようだ。力強い歌声が魅力的である。

 1974年の曲なのだが、古臭さを感じさせない神曲と認定する。ちなみにエンディングテーマもまたいい。

 マッハバロ~ン、眠れ眠れ。オープニングとはかなりテイストが違うが、別のベクトルでまた突き抜けて名曲入りだ。このnoteでは割愛し、ここに紹介するにとどめる。

 1974年ときいてピンときたかもしれないが、打ち切りになった要因にはオイルショックなどの問題もあったようだ。60年代後半から続いた特撮人気が徐々に落ちてきた時期でもある。当時は食傷気味だった。だからこんな斬新な主題歌が生まれたのかもしれない。差別化を図ろうとして斬新さを求めるのはどのジャンルにもいえることで、多くの人の苦労や工夫が見て取れる。今までにないロックでいこうと考えたのだろう。

 そうしたらこんな名作が生まれた。いつの世も、革新者は偉大だ。

       【今日の名歌詞】

悪の天才が時に野心を抱き 世界征服をゆめみた時に 君はどうする 君はどうする 君は じゅうりんされて黙っているか 今だ出撃 マッハバロン

 

 


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