名曲807 「Driving My Love」【杏里】

ーー歌詞を聴いてにんまりーー

【Anri - Driving My Love】

Anri - Driving My Love - YouTube

 杏里はシティポップによって評価がどんどん上がっているように思う。元々の歌唱力はそれこそ国民的でなければいけなかったのだが、日本だけにとどまらず世界に発信されていったのは望外である。

 シティポップ好きならば押さえておきたいアルバムがある。それが杏里の「Timely!!」だ。
杏里 Anri - Timely!! (1983) [FULL ALBUM] - YouTube

 私が杏里を好きになったきっかけは「オリビアを聴きながら」なのだが、めちゃくちゃ好きになったのはこのアルバムのおかげである。過去に「Windy Summer」も取り上げたことがある。今回はその中から2曲目ということになる。

 「Driving My Love」は聴いていて心地よいメロディーなのと、杏里の透き通る歌声が遺憾なく発揮できている。それに個人的には歌詞も好きなのだ。場所は隠すが、まんま私のことやないかという箇所があるのである。

 シティポップはこういう曲群で構成されたものが多く、いまの沈んだ日本社会を打ち破る特効薬といいたい。だが徐々に時代背景の移り変わりも感じられる。いまはもう、車がすべてという時代ではないのだ。ドライビングが主流だったのはイケイケだった高度成長期。車をコスパ悪いといって持たない人も多い。田舎は別かもしれないが。

 あの頃の日本を見つめて、いまの20代は羨ましいと思う。過去は未来なのだ。そう、私にとって昭和はリアルな近未来という感じなのだ。そんなキラキラした時代を夢見ても、きっとそれは来ないだろうという絶望感。だから後ろを向いているのである。

 杏里の声はそんな近未来さえ感じられる。いまの歌手にこんな声が出せる逸材がいますかと。あの頃はよかった、はもう老人の言葉だけではない。若者だって悩んでいるのである。


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