名曲329 「セカンド・ラブ」【須藤薫】

ーーあまりにも切ない恋愛模様ーー

【須藤薫 セカンド・ラブ 歌詞 字幕入り】

 またも1970年代の曲を取り上げる。冷静に考えてみるともう50年前の出来事なのだ。子どものころ、70年代生まれの人は「30代のしっかりした大人」と思っていたし、80年代生まれの人を「お兄さん」といった感じでとらえていたが、ああ、もう70年代生まれって50代に差しかかるのね。諸行無常。

 須藤薫は初めて取り上げる。伸びやかな歌声が武器だがヒット曲には恵まれていなかったかもしれない。最近になって知った存在だったのだが今回取り上げる曲以外にも好みの曲はあったので、今後も取り上げる予定だ。

「セカンド・ラブ」は歌詞が秀逸。ぜひ見てほしい。

{ありがとう なにもきかないわ みがきたての 車に乗せたかったのは 私じゃなかったはず}

{知ってるわ けんかしてること 久しぶりの電話が 淋しそうなのに あの娘にふれなかった}

{Second Love 私はあなたのSecond Love Second Love 私はあなたのSecond Love あの娘を忘れてよお願いと その胸 たたきたいときがあるの 私が愛してるくらい あなたに愛されたい}

 ざっと一番まで。セカンドラブの意味が「二回目の恋」ではなく「二人目」を意味しているのが何とも切ない。現代の若者であれば、なんだよくそ男とばかりにブロックをかましているであろう。しかしこの女性は一途に好きになってしまったあの人を追い求めているのだ。

{誰よりもはやく出逢えたら あなたは私だけのものだったかしら 時は糸をもつらせた}

{Second Love 私はあなたのSecond Love Second Love 私はあなたのSecond Love 哀しい意気地なしだわ私 いつまで待つつもり?順番を 私が愛してるくらい あなたに愛されたい}

 いじらしい。昭和の美学である。石川ひとみの「まちぶせ」にも近い。当時の作詞家はこういったやりきれない恋愛模様を描ける力量があった。今回の作詞家は呉田軽穂。ほほう、聞いたことのない人だと思ったそこのお方、実は松任谷由実の別名義なのだ。

 ちなみにこの絶妙なメロディーラインを形成した作曲家は杉真理。「すぎまさみち」と読む。この方も昭和の名曲を数多く生み出しており、必修科目といっても差し支えない。

 セカンドラブで思い出したのだが、ああ、昭和の歌姫をまだ取り上げていなかった。盲点オブ盲点。まっさかさまに堕ちてしまう前に、今年中には取り上げたい。

       【今日の名歌詞】

Second Love 私はあなたのSecond Love 哀しい意気地なしだわ私 いつまで待つつもり?順番を 私が愛してるくらい あなたに愛されたい

 

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