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(音楽話)21: Sade “Cherish the Day” (1992)

【耽美】

Sade “Cherish the Day” (1992)

イギリス出身のSade(Sadeは4人組のバンドです)、デビューは1984年。最初から売れまくり、早々にグラミー最優秀新人賞受賞、アルバムを出せば全世界、100万枚単位で売れ、ヴォーカルのSade Aduのスタイルとルックスはファッション誌の表紙になるほどの人気ぶりでした。
人気絶頂の中、彼女の結婚・妊娠を機に94年頃から活動を休止。2000年に8年ぶりのアルバム「Lovers Rock」をリリースしたところ大好評、またグラミー受賞。そして再び沈黙し10年後の2010年、アルバム「Soldier of Love」発表。それまでとは異なるアグレッシヴなサウンドを取り入れ話題になり、またもやグラミー受賞…正直出来過ぎな音楽キャリアです。21世紀になってからすっかり寡作になりましたが、それはSade Aduの仕事へのスタンスが非常に大きく影響しているようで、彼女はあくまでもマイペースな活動を大事にしてるんだとか。曰く「売れ線の音楽をリリースすることに興味はないわ。だってSadeはブランド品じゃないんだから」。

私見ですが、Sadeが出てきた80年代半ば辺りから、音楽ジャンルの細分化が本格的に拡がっていったように思います。実際、Sadeの音楽性を表した表現は沢山あって、ネオ・ソウル、ソフィスティ・ポップ、スムース・ジャズ、R&B、pop…もうなにがなんだか分かりません笑 まぁそれだけ、彼らの音楽が有りそうで無かったことの裏返しとも言えますし。どの既存ジャンルにも当てはまるようで当てはまらない、当てはまらないようで当てはまる、そんな絶妙なサウンドを纏っていたということだと思います。
これだけ有名かつ売れたバンドです、後世に与えた影響も大きい。90年代に出てくるSoul ll Soul、The Brand New Heavies、Simply Red、Lisa Stansfieldなどは間違いなく影響を受けたはず。さらにRakim、Kanye West、Rick Rossなどの米国ラップ/ヒップホップにも伝播しています。

“Smooth Operator”、”The Sweetest Taboo”、”Kiss of Life”、”No Ordinary Love”などなど、一度は聴いたことがある曲だらけですが、この曲”Cherish the Day”は92年、4枚目のアルバム「Love Deluxe」収録曲。シングル・カットされたものの、彼らにしてはあまり売れませんでした。でもこのアンニュイさ、ギターの物悲しさ、歌詞の耽美具合、シンプルだけど印象的な男性コーラス、私は好きです…PVでSade Aduがレスポールを抱えて歌ってるのはちょっと奇異に映りますが。
ちなみにBarack Obama前米国大統領が、先日SNSで「A Promised Land」という名のプレイリストを公開、その中にこの曲が含まれています。以下、参考まで(彼の選曲なのでメッセージ性強めですが良い曲多数)。

年末、本格的にバタバタする前に、少し耽美にチルアウト。
今月もまた、皆様にとって素敵な日々でありますように。

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動きまでも支配されて 私はあなたに毒された
あなただけが私を救える これが私の願い

あなたが私のものになるなら 私のものになるなら
天国に行けなくなっても 構わない

その日が愛おしいの
迷うことなんてないし 恐れることもない
走る私をあなたは 捕まえられないわ

私の身体を支配して 空気までも奪った
途方もない愛の深淵を あなたは教えてくれる

その日が愛おしいの
迷うことなんてないし 恐れることもない
走る私をあなたは 捕まえられないわ

その日が愛おしいの
迷うことなんてないし 恐れることもない
走り去ることもないわ

途方もない愛の深淵を あなたは教えてくれる
途方もない愛の深淵を あなたは教えてくれる
これが私の願い

その日が愛おしいの
迷うことなんてないし 恐れることもない
走り去ることもないし 恥ずかしくもないわ

その日が愛おしいの
迷うことなんてないわ
その日が愛おしいの…

(Sade “Cherish the Day” 意訳)

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