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(音楽話)60: Vincenza Pastorelli “Volevo un Gatto Nero" (1969)

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Vincenza Pastorelli “Volevo un Gatto Nero" (1969)

まずは冒頭の動画をご覧ください。一発でわかると思います…そうです、「黒ネコのタンゴ」。この曲、元々はイタリアの曲です。

イタリアのボローニャで毎年、子供の歌のための国際歌唱コンクール「Lo Zecchino d'Oro/ゼッキーノ・ドーロ」が開催されます。これは1959年に創設され今も続いていて、一時期、ここでの受賞曲のいくつかには訳詞がついて日本でリリースされてきました。その中のひとつがこの、69年に3位に入賞した”Volevo un Gatto Nero/黒ネコがほしかった”→”黒ネコのタンゴ”です。69年10月に皆川おさむが歌い、オリコン14週連続1位200万枚以上の売上を記録する大ヒットになりました。

黒ネコのタンゴ” (1969)

日本語歌詞は、原曲の訳詞ではなく日本独自のもの(作詞・見尾田みずほ/瑞穂)。「爪を出して 僕の心をなやませる」「おいしいエサに いかれちゃって あとで泣いても 知らないよ」「夜はいつも キミのものさ」…実はとても大人っぽい歌詞だったりします。発売当時「大人向けの子供の歌」という触れ込みだったそうですが、それも頷けます。
それに対し原曲歌詞。歌の主人公は「ウチのワニもキリンも、なんなら動物園全部あなたにあげる」。だから「あなたの黒ネコをちょうだい!」とお願い。そしてもらったのは「白いネコ」。約束と違ーう!と怒る主人公。でも最後は「もうこうなったら黒でも白でもいいわ」「ネコは貰っとくけどもう何もあげないから!」笑…深読みするとこの歌も大人な歌詞に見えてきますが、まぁそこは置いておきましょう。

イタリア・日本に共通するのは、その歌声の可愛らしさ。天真爛漫、純真無垢、自由で無邪気な声という印象。大人は到底出せない音域と声質ですよね。Vincenzaは当時4歳皆川は当時6歳。その後、Vincenzaは2012年に売春斡旋・麻薬容疑で逮捕→冤罪だとして法廷闘争になったそうです(結論どうなったか不明ですが、本人と思われるインスタが存在するので今は普通に暮らしている模様)…。一方の皆川は現在「ひばり児童合唱団」の代表を務めています。うーむ、人に歴史あり。

えーと、2月22日/ニャンニャンニャンなので…無理矢理でしたかね笑
今週も皆様にとって素敵な日々でありますように。

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本物のワニよ 本物のワニ
飼ってるって言ったでしょ あなたにあげるわ
でも交換よ ワニはあなたに
くれればいいから 黒いネコを私にね

(+)
欲しかった黒いネコ 黒の 黒の
あなたがくれたのは白いネコ 違うじゃないの!
欲しかった黒いネコ 黒の 黒の
嘘つきじゃないの もう遊んであげないんだから!

プラスチックでも 布でもないキリン
でも本物よ あなたにあげるわ
でも交換ね キリンはあなたに
くれればいいから 黒いネコを私に

(+repeat)

インド象よ 大っきな天蓋付きの
お庭に飼ってたの あなたにあげるわ
でも交換して 像はあなたに
ちょうだいよ 黒いネコを私に

(+repeat)

簡単なことよ 動物園全部あなたにあげる
だからちょうだい 黒いネコだってば!

欲しかった黒いネコ 黒の 黒の
でも白いネコよ あなたが私にくれたのは
欲しかったのは黒いネコ でも黒でも白でもいいわ
ネコはもらっとくけど もう何もあげないから!

(Vincenza Pastorelli “Volevo un gatto nero” 意訳)

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