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バッハ エピソード22 バッハ転職決断

バッハが宮廷楽師長を務めていたワイマールは、領主ヴェルヘルム・エルンストと甥のエルンスト・アウグスト公の共同で統治する政治形態をとっていました。
しかし、この二人は性格も好みも正反対で、容易ならない確執が生じており、公爵は、宮廷楽団の音楽家たちが分家のエルンスト・アウグスト公の城で演奏することを禁止するほどでした。
バッハは、このような理屈に合わない命令には従わず、親しくしていたアウグスト公の誕生日にカンタータを演奏し、報酬を得ていました。このことを公爵はとても不愉快に思い、姑息な手段でバッハを罰することになるのです。

宮廷楽団の楽長のドレーゼが亡くなり、バッハは、次期楽長後継者としてアピールしようと意気込み、カンタータ3曲を作曲します。
ところが公爵はバッハではなく、バッハよりも才能の劣るドレーゼの息子を据えようとしていることがわかり、バッハは失望してしまいます。
以後、ワイマール宮廷のための音楽が書かれた形跡がないのは、やる気を失ってしまったからでしょう。
バッハは外部への転任を決断します。

そこに手を差し伸べたのは、アンハルト゠ケーテン侯レオポルトでした。彼は宮廷楽団の新楽長としてバッハを招きます。これはバッハにとってワイマールでは得られなかった最高のポストでした。しかし、エルンスト公爵は意外にもバッハの辞任を認めず、ケーテンに移住する目処がなかなか立ちませんでした。



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