見出し画像

バッハを聴く 鈴木優人 J.S.Bachを弾く3ー平均律第2巻

指揮者でありチェンバロ奏者 鈴木優人の「J.S.バッハを弾く」シリーズの最終章を聴いてきました。

今回はバッハの最晩年の作品、鍵盤音楽の金字塔《平均律クラビーア曲集第2巻》です。第1巻から20年の時を経るなかで、バッハ自身も色々な経験を積み重ねたことで、より多彩に進化を遂げた作品です。

トッパンホールのコメントよりー
24の調をひとつひとつ、登り、下る
2時間を超える道のりは、長大にして雄弁な
J.S.バッハのそして鈴木優人の大冒険

と言われて、聴いてみたくなりました。

全く予習もせず聴きに行きましたが小難しく考えることもなく、とてもリラックス
して、この音楽の大冒険に入り込んでいきました。これは鈴木優人氏の特徴なのだと思います。

チェンバロはピアノほど強弱の幅が出せない分、指の強弱の使い分けや、アーティキュレーションが表現の鍵を握るということですが(とても難しそうですね)低音部の柔らかな流れと、高音部の弾ける万華鏡のようなキラキラ輝く音たちは、まるで歌っているようでとても表情豊かなものでした。

また、曲が終わる時の残響もすごく素敵だなと。これはチェンバロでしか味わえない魅力的な音でした。鈴木優人氏は意図的にこの残響で、曲の終わりとはっきりとさせていましたね。

調弦中のチェンバロ

最後に鈴木氏が「皆さん、お疲れ様でした」という一言は良かったですね。
満席のホール全員でバッハの大冒険の旅を140分満喫した団結力=「やったね!」感がありました。

アンコールはグノーのアヴェ・マリアで有名な平均律クラヴィーア曲集第1巻より第1番 ハ長調 BWV846 プレリュード。
この曲はフルートの発表会でピアノ伴奏をつけていただいたので思い出深い曲ですが、美しいハーモニー、そしてシリアスな部分から明るい光が見えてくる展開、最後は霧が晴れて目の前がぱあっと開けるイメージは何回聴いても気持ちいいですね。

風がとても冷たい1月の飯田橋駅へ向かう帰り道が、ぐっと軽やかに、そして明日も頑張ろう!という気持ちになりました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?