伴奏ピアニスト(コレぺティ)に必要な能力
これなしには語れない。初見の力
今まで多くのピアニストと関わってきて思うことがあります。
それは、ピアノ弾きには二つのタイプが存在するということ。
初見(全然できない人もたまにいる)や譜読みは遅いが、
譜読みが終わった時には既に暗譜ができているタイプ。
次に、初見は強い(オーケストラ譜を見てパパっとピアノですぐ弾けちゃうツワモノもいる)けれども、暗譜に時間がかかるタイプ。
皆さんお分かりかと思いますが、伴奏ピアニストに向いているのは勿論二つ目のタイプです。
私が現在住むヨーロッパでは、基本的に周囲の人のことを考えて早めにホウ・レン・ソウ、なーんて感覚はさっぱりありません。
なので、本番直前まで楽譜が来ないこともあるある・・・直前での曲目変更も勿論あるある・・・です。特に声楽の場合は当日変更なんてのもありますね。器楽はさすがにそんなことはありませんが。
そんな時に短時間でいかに仕上げるか、あわよくばほぼ初見でもなんとか形にして本番にのせられるか、という力が重要です。
息継ぎ(ブレス)ができるか
これは金管楽器や歌の伴奏でとーーーーーーーっても大事なこと。
簡単なようで意外と難しい。
ただ単に楽譜に書いてあるブレス(V)のタイミングを合わせるだけではなく、ブレスの前後でテンポを絶妙に緩めたり進めたりして、歌手や奏者に無理のないブレスをしてもらい、且つ音楽の流れを止めないこと。
特にリハーサルと本番で、緊張や当日のコンディションによりブレスの箇所が変わることも多々あります。
ここでも伴奏者は、臨機応変にそれを察知しながら演奏することが求められるというわけです。
絶対に止まらない
本番ではあらゆるハプニングが起こります。
緊張のあまり歌詞を忘れてしまったり、数小節(時には数ページなんてことも・・・)飛ばしてしまったり。
そんなとき、舞台上で全く動じず、演奏を絶対に止めず、且つ聴衆にバレないようにうまーくごまかせること。
前奏や間奏を弾き終わっても、小節の数え間違い等でソリストが入ってこないこともよくある事で、そんな時は再度そのフレーズを繰り返してみたり、リタルダンド(だんだん遅くする、の意味)をかけてみたり、臨機応変に対応できる力が大事です。
人と関わることが好き
ひとりで一日何時間も部屋に籠り、レパートリーを練習、自分自身とひたすら向き合う・・・というピアノソロのの世界。
かたや素早く譜読みし多くの曲を仕上げてリハーサル→演奏会・試験・コンクールなどの伴奏、時には数週間一緒に旅をすることもある伴奏ピアニストの仕事。
特に試験やコンクールの前は、伴奏ピアニストの良し悪しが結果に影響を及ぼすこともあるほど責任重大な任務でもあります。なので胃が痛くなることもしばしば・・・。
しかしこちらが緊張している素振りは見せず、ソリストが安心した気持ちで本番に臨めるようにメンタル面でのサポートをすることも。
人と関わることが好き、という根底があるからこそできる仕事です。
良い耳
最終的にはやはりこれ。音楽全般に言えることでもありますね。
伴奏ピアニスト、特にコレペティの仕事をするには
『相手の演奏を聴きながら弾いて適切なアドバイスをする』
という役目があります。音程やテンポ感、音楽の解釈など、一緒に演奏しながら適切にアドバイスできる力が必要です。
最後に
以上、伴奏者に必要な能力について常日頃から思っていることをまとめてみました。
次回は私が普段の練習で実践している、伴奏の練習の仕方についてまとめてみたいと思います。お読みいただきありがとうございました♪