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宝塚雪組【fff】※多少ネタバレ有

明けましておめでとうございます!

新年早々、筆者はご贔屓を求めて宝塚大劇場へ
遠征して参りました。

稀代の歌声をもつトップコンビ
望海風斗さん&真彩希帆さんの
退団公演。

コロナの恐怖に負けず、会場の熱気も元旦から上がっておりました!

簡単なあらすじは公式さんをチェック⇩

https://kageki.hankyu.co.jp/sp/revue/2021/fortississimo/index.html

☆圧巻のウエクミワールド☆

今回のお芝居の演出家である
上田久美子先生(愛称ウエクミ)。
劇団の若手演出家ながら、初演出作品から好評を
えてる人気演出家です。
人間の本質、現代社会問題などを
上手くお芝居に取り入れてメッセージ性の高い作品が多く、宝塚では異色な存在だと認識しています。

今回は特にトップスターの退団公演。
上田先生は前宙組トップスターさんの退団公演も担当していて、その作品も筆者は観に行きましたが
組子さんの深いお芝居、歴史とセリフの重さに
終演後の頭の疲労感が凄まじかった記憶があります笑

今回はどうなるだろうか?とドキドキしながら望んだ初日。

正直、???という疑問しか残らなかった。

なぜなら、フランス革命後からの歴史、登場する様々な偉人、難解で哲学的なセリフ廻し、名曲の数々、そしてかっこよすぎる我がご贔屓。
目と頭がその全てについていくのに必死で内容があまり頭に入らないまま終わったしまったのだ。

ウエクミ作品ではあるあるの、理解するまでに時間かかるので複数回通って面白さが分かるという
トラップなのだ(褒めてる)

2日目を観てやっと内容を理解しかみ砕いていくことで作品の面白さがわかってきたので
ウエクミ作品はやはり大変だ、と思わざるを得ない。これによって、ウエクミ作品苦手と思うファンもいるのだから致し方ない。好みの問題ですしね。

少し脱線したが、肝心の内容。

人はなぜ生きるのか、ナポレオンの戦う意味、音楽は誰のものなのか。
など、ざっくりいうと哲学的な内容。

観劇レビューを書こうと思いながらも、この文章で合ってるか?と筆者も不安なところあるため
そこは暖かく見守っていただきたい。

☆本当に作りたかった音楽☆

物語序盤は、主人公ベートーヴェンの恋愛関係と難聴になるきっかけが描かれた。身分差によって恋人に裏切られ結ばれることがなかった恋。それにともなって始まる難聴の兆し。

注)少しネタバレだが、作中でのベートーヴェンの難聴のきっかけは、これ以上ベートーヴェンが厚顔無恥な音楽を作り続けるならば音楽家人生を終わらせよう、と天国から見ていた先人音楽家ヘンデル&テレマン&モーツァルトに天界の雲を耳に詰め込まれたのが難聴の始まりとなっている。これを知るだけでも、あまり舞台で混乱することはないかと思う。

また、ここで相手役真彩希帆の持ち味でもある高音の歌声が耳鳴り音として使われている。
ベートーヴェンにしか見えない謎の女。序盤ではわからなかった彼女の正体は後半にかけてわかっていくのだが、その話は後ほど。

父親との確執、初恋ロールヘンとの出会い
と幼少期から青年期まで過去のシーンを経て
ベートーヴェンは音楽で革命を起こすために田舎町ボンから音楽の都ウィーンへ。

史実でも出会ってはいないナポレオンを敬愛し
ゲーテの文学に心酔するなど、劇中の真彩ちゃんの言葉を借りるなら本当に惚れっぽい男なのだ。笑
自由主義故に、ナポレオン戦争終決後に
王政からも注視され周囲から見放される。
そして、初恋の相手ロールヘンの死。
一時の夢で出会ったナポレオンとの会話。
そして
耳が聴こえず、全てを失ったときに
謎の女の正体と名前を悟り、忌み嫌ってた彼女を
受け入れ愛したときに
彼が本当に作りたかった音楽"第九"ができあがる。
など、1時間30分で収めるには大変な内容だ。

だが、とても緻密に作られてるからこそ
通えば通うほど観れば観るほど好きになれる作品。

これから観劇する方の参考にされば幸いです。

☆キャスト感想☆

望海風斗

これぞ、彼女のための彼女にしか演じれないルートヴィッヒでした。
本来ならあるはずだった新人公演があるとするなら正に新公泣かせの公演。
ルートヴィッヒが出て来た瞬間からの音楽に対する気迫を歌声に乗せていて、第一声で会場壊れるんじゃないか?という音の圧。
様々な歌ウマがいる歌劇団でも、彼女ほどの強靭な喉、音楽の表現力を持つ人は現状いないのではなかろうか。
勿論、歌唱力だけでなくベートーヴェンという人生を生きる上での演技力も彼女の集大成が現れている。
オーストリア皇帝に対する厚顔無恥な態度、信じるものへの一途さ故に融通がきかない性格。
ベートーヴェンの史実や楽曲を研究していたのだろうか、彼女だけが演じれる
ルートヴィッヒ·ヴァン·ベートーヴェンになっていた。

☆ネタバレ注意☆
筆者が好きなシーンは、上記でも少し触れた
終盤にある
夢の中でのナポレオンとの会話シーン。
初恋の人ロールヘンがお産で亡くし
失意の中見た夢。
ナポレオンに『我が兵士』と呼ばれ
憎み口を叩きながらも
お互いのなりたかった姿と夢を語り、
実際に会ったこともなく
かつては憧れ、そして失望した相手ナポレオンこそ自分に1番近い存在の『友達』だった。
(このシーンの解釈は筆者もまだまだ研究の余地があると思ってるので現段階の感想です。みなさんの感想なども聞いてみたい!)

このシーンで、音楽と戦術は似てる、という
セリフがあるのだが、少し音楽をかじっていた
筆者も『確かにそうかも』と思った。
例)
・音符を並べる=兵士の隊列を決める
・メロディライン=戦法?通りに兵士を動かす

真彩希帆

ラストまで正体がわからなかった謎の女。
人外の役だったからか、どこか人間離れした
表情。
彼女はこの公演でどれだけ高笑いがうまくなったのだろうというくらい高笑いシーンが多い(笑)

ルートヴィッヒの前に姿を見せる事で始まる彼との人生の旅。
彼の思想を嘲笑し
時には家政婦のように扱われ(笑)ながらも
彼と、彼の音楽に寄り添っていくことで芽生える
彼への情。
聴力を失い信念を批判されあルートヴィッヒに
拒否され、彼の前から姿を消す。

彼女の、正体。
それは『不幸の化身』

作中のセリフでも何度もでてくる
『生きることは苦しむこと』
『現世という牢獄』
『人生は不幸』
(なんて救いようのないセリフ達)

というように、確かに生きることは苦しい。
それぞれの人生の"不幸"を具現化したのが
今回の、謎の女なのだ。

ルートヴィッヒの前に現れたように
人類皆の側にいる存在。
人には好かれない"不幸"。
なんと、難しい役どころ。
きいちゃん自身は、初のウエクミ作品。
最初で最後にして難役がきてしまった。

今まで演じたことがないお役だからこその意外性もあるけれど、全てを受け入れたルートヴィッヒに
"運命"という名を付けられ
『人生が苦しみと言うならば、俺はお前という運命を愛するよ。』
と言われ、今まで忌み嫌われる存在だった自分が
人に受け入れられ、その喜びが第九のメロディラインに載せられていくという壮大なラストになるのだ。
彼女の集大成も是非楽しみにしてもらいたい。

彩風咲奈

この公演で2番手卒業のさきちゃん。
トップお披露目も控えているからか
彼女のナポレオンには一層力が入っている。

作品にも、役に想いをのせて
次代を担うからこその熱量と表現力が現れていて
お芝居がどんどん深みがでてきたなあと
感じました。

ナポレオンは
頭の回転が早く、政治向きの思考。
その実現の為には、王政ではなく
自分が先頭に立ち、国を率いる必要がある。
そのために戦争を続ける。

劇中でゲーテが『時代が貴方に追いついていない』
というように、ナポレオンがもう少し遅く生まれていたらまた彼の人生が変わっていたのだろうか?
と考えてしまう。

ベートーヴェンとの会話シーンに出てくる
・国民が、ソコソコ豊かに生活できる為に必要なのは人、優れた物、情報。
・ヨーロッパを1つに纏めるヨーロッパ諸国連合
・情報を、素早く伝達させる

など、確かにフランス革命後では、時代と国力の限界がある。
ロシア遠征で負け、絶対王政に戻り彼の夢が潰えた瞬間。作中のナポレオンは何を思っていたのだろうか。

宝塚でも、様々なナポレオンを演じてきたが
今回のナポレオンは、一際人間臭い。
作品と演出家が違うと偉人像も変わるのだから面白い。

さきちゃんが抱いているナポレオン像、お役へのアプローチもナウオンなどで聞けるのが楽しみだ。

☆まとめ☆

本来なら、今回退団する彩凪翔や、次代を担う
朝美絢、朝月希和などの感想も書きたいのだが
それはまたの機会に書きたいと思います!
なぜなら情報量が多すぎて感想のまとめがおいつかないw

次回はショー『シルクロード』について投稿します★

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